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-1度目はストーリー、2度目はセリフや表情を。素敵なドラマは何度も楽しめる。-


このページは、No.1133 哉子がお伝えします。


★FLIGHT #07 「さらば空」★

★☆ ストーリー

ジェーン「フィッシュがない!?」
成田に向かう大連便のコックピット。 (※)大連: 中国・遼寧省
太田が運んできた食事が肉料理だったことに文句を言うジェーン。
「しらすが食べたい」と愚痴るジェーンをなだめ、太田は、務めは果たしたとばかりにキャビンに戻っていったが、それでもジェーンの愚痴は止まらない。
そこまで拘るのは、身体検査を明日に控えているからだった。
この検査にひっかかっては、乗務停止が言い渡され「異常ナシ」との結果が出るまで空を飛べなくなってしまうのだから、さもありなん…といったところである。
元は、「小学生みたいな」その検査を思い出し、あからさまに面倒くさそうな表情を見せた。

成田に到着した元は、真っ先に歩実に電話をした。
先日、深〜い時間に呼び出したにも関わらず寝てしまったことを謝るが、「何のこと?」ととぼけたり「怒ってない」と言い張ったりする歩実は、どうもまだ怒っているようにしか思えない。
で、元がどこにいるかというと、ハンガーだったりする。自動販売機コーナーを埋める整備士の多さに気後れしながらも、歩実がいるものとして足を運んだのだった。
しかし、歩実は自宅にいた。
「じゃ、これから出てこれる?」と、先日の埋め合わせも兼ねて歩実を誘う元だったが、歩実からの返事はNO。次の日も、そのまた次の日もNO。
歩実は、来週実施される機体システムの実技試験に向けて勉強中だったのだ。
自宅の自分の部屋でファイルを開きながら電話をしているところに、姉の香織が入ってきたこともあり、歩実は早々に電話を切ってしまった。香織は、そんな妹の様子を見ていて、両親のことを話したら?と言うのだが、歩実は、まだ元に話す気にはなれないようだった。

翌日、相変わらずダッシュで出社した元は、安住・ジェーンのおなじみトリオで身体検査を待つ列に加わった。元が寝酒したことをつついてくる安住。さらにジェーンも、身体検査でうまくいっても監査フライトがあるとたたみかけてきた。
安住「おまえヤバイかもよ!?香田さんに愛されてるから」
「誰に言ってんの?」
安住「おまえのことだよ」
ムカッ。立ちあがった元が安住に食ってかかり、いじめっ子のように安住を小突き始めた。ジェーンの制止もきかずエスカレートしそうなところに、注意の声と共に1人のキャプテンが入ってきた。
ジェーン「これは、山上キャプテン」
その人を見たジェーンは、すぐさま姿勢を正して一礼する。検査を待って座っていた他のパイロット達も全員立ち上がり頭を下げた。
ジェーンが”山上”と呼んだそのキャプテン【柴俊夫】は、元の前で煙草の匂いに気づき、「酒はいいが、煙草は百害あって一利なし」摂生するようにとの忠告を入れて、中へと入っていった。
今の人が誰かジェーンに尋ねると、彼は日本で1、2を争う飛行時間を誇り、総理大臣の特別チャーター便の操縦棹を握るほどのグレートキャプテンだという答えが返ってきた。

元は検査にひっかかってしまった。喉が健康な状態ではないらしい。
ポリープか?煙草の吸い過ぎか?―いずれにせよ再検査を受けなければならなくなってしまった。ということは…そう、検査結果が出るまで乗務停止。
思いがけず言い渡された乗務停止に肩を落として滑走路を見つめる元。そしてまた、何とは無しに煙草を1本くわえたところで気づく。この煙草が原因なのか…。元はくわえた1本を箱の中に戻し、手の中でその箱を握りつぶす。そんな時に限って飛び立っていくシップがしっかり目に入ってきたりするのだ。元は「あ゛ーーー、もう…あっ!!」とやるせない叫びを上げて空を見上げた。

帰宅すると、また「ショウちゃん」と呼ぶ声が聞こえてきた。
笑顔で隣の部屋から出てきた異邦人に、挨拶だけして部屋に入ろうとすると、元の後から部屋に入ろうとする異邦人。慌ててバリケードを作り、ドアの外へ押し出す元。
「なにやってんすか?」
異邦人「コレ飲んで」
「なにコレ?」
異邦人「秘伝の黒酢よ」
「黒酢!?…そ、そういうのいらないっす」
異邦人「ショウちゃん。あなたが今悩んでる喉のことだって、一瞬にして治るのよ!?」
この言葉に思わず喉もとに手をあてる元。
異邦人「私には分かるの。はい!」
異邦人は、強引に黒酢の瓶を渡して自分の部屋へ戻っていった。
「…いや、おれにはわかんねぇっつーの」
部屋に入った元は明かりもつけずに、まずグラスを出してきて黒酢を盛った。
見た目はブランデーだが、瓶の注ぎ口に鼻を近づけると、思わず「うっ」と唸ってしまうほど強烈。やっぱり黒酢だ。元は意を決して、鼻をつまみながら一気に飲み干した。喉を通りすぎたそれは、かなり喉にしみたようで、苦しそうな声をもらし、咳込み、痛みに耐えかねてテーブルにオデコを打ちつけた。

再検査は2日後に行われた。
2日前、肩を落として歩きながら煙草の箱をつぶしたその場所で、今度はゆっくりとしゃがみ込んだ。
「あーーーーーよかった〜っ」
元の顔には嬉しさいっぱいの笑顔があふれていた。

再検査をパスして乗務復帰を果たした元の第1便は、山上キャプテンとのバンコク便だった。
コントロール室でフライトプランに目を通していた山上と握手を交わした時、今回のフライトは監査フライトであること、そして、その監査官は香田であることが告げられた。

コックピットに入った元は、その中を改めてじっくりと見渡したり、座って操縦棹を握ってみたりして、乗務に復帰できた喜びをかみしめた。
そこへ整備担当の歩実の声が届く。
最初のうちは業務的な話し方を崩さず監査フライトを話題にした歩実だったが、いつもと変わらない様子の元が、その監査官が香田であることを報告すると、そこから憎まれ口が飛び出した。
歩実「せっかく乗務停止がとけたのにね。日頃の行いが悪いんじゃないの?」
「…なんでおまえ乗務停止って知ってんの?」
歩実「ばっかじゃないの!?会社中で有名だよ!?」
そして、結局相変わらずのやりとりを続ける2人だった。

歩実の実技試験が始まる頃、元の監査フライトであるバンコク便が飛び立った。
フライト中、元の操縦について山上からお誉めの言葉が出た。同意を求めた先の香田が表情を変えずに「監査の結果は目的地に到着してから」と口にしても、香田にも新米の頃があったとあまり動じない山上がそこにいた。それは、監査への緊張をやわらげようとする元への心配りであったが、元はその話しぶりから、香田と山上の関係に興味を持つ。
実は、香田が外資系のグランシア航空から全日空に移ってきた当時、研修の教官をしていたのが山上だったのだ。
そんな語らいを続けていたところで、元は前方の積乱雲に気づいた。
ベルト着用サインが出され、ドリンクサービス中だったC.A.達も慌しく、しかし笑顔を保ちつつサービスを中断、自分の席についた。
積乱雲に入った途端、機体が激しく揺れ始めた。
軽い指示を出しつつ元に操縦をまかせていた山上だったが、元よりも先に高/速度を操作するコックに手を掛けたり、キャビンクルーへの連絡を入れたりして、いつしか自ら指揮を取るようになっていた。元が左に旋回しようと準備をするも「このままでいい」と言って、元が行なった操作を元に戻したりもした。最終的には、オートパイロット(自動操縦)を外すよう指示を出した山上が以降の操縦棹を握り、見事な操縦をもって積乱雲から抜けることが出来た。

バンコクへ到着した時点で、香田から監査結果が言い渡された。
元には、機長に対しての援助業務に度々不注意が見られたとして、次回フライトからの注意が促されただけにとどまったが、山上へは、もはや機長としての適性が失われているとの判断を下し、いきなり進退を突きつけた形になってしまった。
これには元も納得がいかず食い下がるが、香田は、今回のフライトでコーパイへの指示を出さず自ら操縦したことで機長としての指揮統率力に欠けていたという判断理由を話した。
山上は、監査結果も勿論受け止め切れぬものではあったが、それ以上に香田の非情なまでの態度に声を荒げた。
山上「何故そんなに変わってしまった…。
   まだ12年前のことで…自由になれないのか」
香田「過去は関係ありません。私は私の仕事をしたまでです」
山上は、香田の考えを一応は受け留めて、足早にコックピットを後にした。
元は、残された香田が苦渋の表情が浮かべているのを目の当たりにしていた。
そんな元の視線に気づいて表情を隠す香田の前を横切り、元はキャビンへ出て山上を探したが、もはや山上の姿は見えなかった。
コックピットへ戻ろうとしたところに、香田が出てきた。
改めて監査結果について香田に食い下がる元。
何をどういっても冷徹な態度で元と対峙する香田に、元は、山上に下した判断に間違いがないのなら先ほど目にした苦渋の表情は何なのか、と問いただす。
「俺、あんな顔した香田さん、初めて見たんですけど…。
  …ていうか先刻山上さんが言ってた12年前のことってなんすか?
  香田さんを変えたことって…」
香田は何も答えずにその場を去ろうとした。
「いや、ちょっ…、ちゃんと聞かせてください」
香田「君には関係ない」
「いや…一緒に飛ぶ人間として聞きたいだけです」
香田「黙れ!
   …軽々しく他人のことに口をはさむな。
   …おまえは何でもぶつかっていけば解決できると思っている。
   何とかなると思っている。しかし世の中そう甘いものではない。
   わかったような口をきくな」
それだけ言って、香田はシップを出ていった。

宿泊ホテルに着いた元は、フロントで山上のことを尋ねると、既にチェックインしているとの答えが返ってきた。
宿泊手続を済ませホテルの中へ歩みを進めると、ラウンジで山上を見つけた。山上は気を紛らわすかのように、早いペースでどんどん酒を身体の中へ流し込んでいた。そんな姿を見ては声を掛けるにも掛けられず、遠目から一礼して立ち去った。
元が去った後、山上に声を掛けたのは富樫だった。キャビンでの香田と元のやりとりを密かに聞いていた富樫は、山上を気遣いつつ席を共にした。

往路フライトのブリーフィングで、山上本人の口からこのバンコク便をもって機長を退くことが伝えられた。
テイクオフ後、オートパイロットになったところで、ラストフライトが快晴であることをしみじみと喜ぶ山上の姿があった。
自分がコーパイじゃなかったらこんな結果にならなかったのでは…と謝る元に、山上は前日の積乱雲に入った時のこと―元のことも機械のことも信じず、ただ自分のみを信じて操縦していたこと、もしそんな状況で同時に別のトラブルが発生した場合1人では対処出来なかったであろうことを語った。
山上「このハイテクの飛行機ってヤツは、機長と、コーパイと、ハイテクが力を合わせれば
   何重ものトラブルを克服できる能力を持っている。
   しかしねぇ…、私はどうも、このハイテク…
   …年とるとな、つい頑固になってしまって、人に任せられなくなるんだよ。
   自分だけを信じてしまう。…確かに、機長としては失格だな」
一度飛んだら自分からやめられず、グレートキャプテンには監査でさえ何も言えない中で、香田はやめる勇気をくれた、と語る山上。
山上「香田くんにしかできない仕事だったんだ」
「香田さんにしか…それ、どういう意味ですか?」
山上「…実は、彼は12年前のある飛行機事故に関わっているんだよ」
そう言って山上は過去を語りはじめた。
当時グランシア航空にいた香田は、ある日風邪をこじらせてしまい、信頼していた先輩がスタンバイとして入ったが、そのシップが、システムの誤作動という現代では考えられない原因によってアリゾナの山中で墜落したという過去を―。そして、自分を責め続けて一度はシップを降りた香田を、当時交際していた女性が山上の下で働いていたC.A.だったことから全日空に誘ったという過去を―。
元はその事故を覚えていた。たしか日本人の乗客もいたはず、とも。
香田「パイロットは完全でなければならない。
   もしフライト時に風邪をひくようなことがあればパイロットを引退する」
山上が語り続ける中、元の脳裏には、以前聞いた香田の言葉が浮かんでいた。
山上が語る昔の香田は、飛ぶことが好きで、曲がったことが嫌いで、すぐに人にぶつかっていた、という。今の元のような男だった香田―しかし、12年前の事故が彼を変えてしまった。彼は、交際していた女性とも別れ、他人にも自分にも本当に厳しいパイロットになった。
そんな香田を自分は救うことが出来なかった、と語る山上の言葉を、元は、相槌を打つでもなく無言で、だがしっかりと受け止めていた。

元の乗ったバンコク便が成田へのアプローチを始めた頃、空港内では、山上キャプテンがこのバンコク便をもって引退することが知らされ、手のあいている者への召集を呼びかける館内放送が流れた。
無事ランディングを果たし、シップを降りた山上を待ったいたのは、コントロール室までの道のりを埋める多くのクルーたちだった。両脇に整列し拍手をもって迎えるクルーたちを前に、山上は、こみあげる熱いものをこらえながら、笑顔でその道を進んで行く。
その後に続く元は、列を作るクルーの中に歩実を見つけて、ボディーアクションで素早く試験結果を聞き出した。そのアクションを見つけてOKサインを出す歩実。
一度は歩実の前を通り過ぎた元は、ふと思い出したようにきびすを返し、歩実に香田の行方を尋ねたが、歩実は首を横に振った。

多くのクルーが見守る中、山上は、キャプテンとしてやるべきことを淡々とこなしていった。そして、最後に肩章と名札をはずした。
山上には、ジェーンと富樫から花束が手渡された。その時、山上は富樫に香田の行方を尋ねるが、富樫もわからずに「すいません」と答えるしかなかった。

最後の挨拶を残して去って行く山上を、「(荷物を)持ちます」と言って見送ることになった元は、富樫に香田を探して連れてくるように頼んでから、山上について歩き出した。
元の言葉を受けて、富樫は監査室に行ったが、そこに香田の姿はなかった。

外に出て車に荷物を載せた山上が、礼を言いながら元の前に立った時、香田が現れた。
そして少し長めの距離をもって向き合う山上と香田。その2人を、元だけではなく、歩実、富樫も遠巻きに見つめていた。
向き合った山上と香田が言葉を交わすことはなかった。しかし、深々と頭を下げる香田の姿は、山上への礼を尽くすには十分なもので、山上もまた、そんな香田の気持ちを受け留め、頬を伝う涙をぬぐうこともなく、納得した笑顔を見せて車に乗り込み、成田を後にした。山上を乗せた車を見送った香田は、そのまま元に背を向けてその場を去って行った。

その日の夜。
2人の時間を持った元と歩実だったが、話題はやはり山上と香田のことに終始した。
山上と香田の心のやりとりを反芻して、「やっぱりかなわねぇよな」と語る元。
歩実は、そんな香田の一面も最初から解っていたと自慢げ。ちょっとくやしい元は「じゃ、おまえ知ってるのかよ」と、山上から聞いた香田の過去を話し始めた。
歩実の表情が変わる。元が言葉を重ねるごとに表情がこわばっていく。
「俺思うんだけど、…香田さんて、そういう事故を2度と起こさないために
  …なんだろ、人生捧げちゃってるっていうか、…今もその事故と戦ってるんじゃないかな」
そう言って歩実の方を向いた元は、いつの間にか目にいっぱいの涙をためている歩実を見て驚き、訳もわからず「どうした?」と尋ねた。

 

☆★ 今週のキメゼリフ

 

☆★ この顔!この仕草!!ファン必見のリプレイポイント

 

☆★ 今週のベストショット

 

☆★ レポ担発信”ぶっちゃけツボなんです!”

 

 


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