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-1度目はストーリー、2度目はセリフや表情を。素敵なドラマは何度も楽しめる。-


このページは、No.1133 哉子がお伝えします。


★FLIGHT #09★

★☆ ストーリー

1999年 4年前。沖縄・下地島。
元はBOEING767訓練機の操縦棹を握り、初めて見る風景―雲の上に限りなく広がる青空に心を躍らせていた。
何より太陽が近い。元は太陽に向けて、手をかざした。

そして今。
緊急脱出訓練中に香田をかばって訓練施設から落下した元は、病院に収容された。
父・良治と弟・誠が病院に駆けつけると、香田と富樫がいて、香田は元に助けられた経緯と訓練中の責任者が自分であることを説明し、責任は自分にあると良治に深々と頭を下げた。良治は、仲間を助けるのは当然のことだと言って香田を責めなかった。
その時、処置室の扉が開いた。
まだ意識の戻らない元はストレッチャーで病室へ運び出された。
その後に続くように担当の成見医師【石黒賢】が姿を現し、元の命に別状はない、と告げた。しかし話さなければならないことがある、と良治を別室へと促した。
香田は、訓練中に起きた事故であることを理由に同席することを申し出た。良治さえ差し支えなければその方がよい、との成見医師の返答に、香田も一緒に元の病状について説明を受けることになった。
そうして別室に通された良治と香田は、成見医師より、元がもう2度と操縦棹を握れないだろうと宣告された。骨折についての回復は保証されたが、神経が傷ついているため足に障害が残る可能性が高い、と―。

再び4年前―。元がコックピットの窓越しに手をかざしても、太陽は、覆い切れないほどの輝きで元を照らしていた。その太陽に負けないくらいの瞳の輝きで、元は、限りなく続くパイロットの視界を堪能していたのだった―。

バイクを駆った歩実が病院に到着したのは、医師の説明を受けた香田と富樫が帰ろうとしているところだった。
その頃病室では、誠が看護師から手渡された元の制服を持ってきていた。
誠は、良治に明日高校があるからもう帰れ、と言われても元のことが心配で、帰ろうとせず椅子に腰をおろした。
と同時に、ペシッと頬を叩く元の手。元は意識を取り戻していた。
「…やったら足痛いんだけど、これ、どうなってんの?」
誠は聞かれたことに答えようとしたが、良治からジュースを買ってくるように言い渡された。そう言って良治が出したのが1万円札であることに不満をもらす誠だったが、良治の睨みの前にしぶしぶ病室を出ていった。
誠が出て行ったのを見届けてから、良治は、医師から説明された元の病状を、自分の言葉で淡々と語った。歩けるようにはなるが、少し足をひきずるようになる―。そう言われた瞬間に全てを悟った元の頬に、一筋の涙がつたう。
元を気遣う良治が何か欲しいものはないか、と尋ねた。すると元は、震える息をもらし、しぼり出すように「しばらく1人にしてくんねぇかな?」と口にした。
ジュースを買いに出たはずの誠は、病室の前で涙をこぼしていた。元の思いをくんで病室を出て誠の前に立った良治は、大きな溜め息をもらした。
元を残して帰ろうとした良治と誠の前に、歩実が駆けつけた。しかし歩実は、元を気遣う良治から面会を断られ、病室の前で元を想うしかできなかった。
1人になった元は―笑った。現実を受けとめきれない反動か、悲愴なまでに高らかな笑い声が響く。
そんな中で、先ほど誠が持ってきた制服に目が目に留まった。今度は涙がこみあげてきた。「マジかよ」「嘘だろ!?」「なんでだよ」としぼり出した声が、悲しい現実を突きつけて自分自身を締めつける。元は布団をかぶって泣いた。

2週間後。
駐車場を通りかかった歩実の目に、元の車が飛び込んできた。フロントガラスに長期駐車して注意と車両移動をうながす貼り紙が…。
ムッとして1歩踏み出した歩実。歩実の心を見透かしたように、阿部が貼り紙をはがして「あの人なら帰ってくるよ」と声をかけた。

元の帰還を待っているのは整備士たちだけではなかった。
元の様子を気に掛けるC.A.たちが、ものすごい迫力で安住に詰め寄っていた。
あまりの騒々しさにジェーンと太田にたしなめられるほどいきり立つC.A.たち。次第に矛先は何事もなかったように業務を続ける香田に向けられたが、香田本人が現れた途端、C.A.たちは驚くほど素早く散っていった。
静かになったところで、香田は太田に一緒に本部長のもとへ行くように、と告げた。

病院では、久しぶりに立とうとする元がいた。
骨折した右足をゆっくり降ろして力を入れていくが、まだ痛みが走るようで、ある程度力を入れたところでバランスを崩してしまった。身体を支えてくれた看護師の手を借りてベッドに座った元に、成見医師が松葉杖を勧めたが、元は自分の足で立つと言ってそれを受け取らなかった。

本部長【小野武彦】のもとへ行った太田は、復帰後の元をパーサーとして受け入れる話を持ちかけられた。
同じ空の仕事だ、パイロットに復帰出来ないのなら人あたりのいい元の気質を活かすのもいいのではないか。そう言って本部長は、太田にも考えておくようにと告げて去っていった。
元が誰よりも熱い思いを抱いてパイロットの職に就いていることを知っている太田は、何も言わずにその場を去ろうとする香田に食い下がる。パーサー以外の自分を考えられないように、元にとって空の仕事は1つしかない、と―。
太田「私は、新海さんがパイロットとして戻ってくるのをお待ちしたいと思います」

香田と太田のやりとりを聞いていた富樫は、監査室に訪れた。
香田がまだ元を見舞ってないことを知り、何故と問う富樫に、香田は自分なりの責任の取り方を決めていないからと答えた。
富樫はキャプテンになる夢を絶たれた元を理解出来るのは香田ではないか、と問いかけ、元に会いに行くことを勧めるが、香田は黙って仕事を続けるだけ…。
いつまでも変わらない香田の態度に「一生そうやって閉じこもってるつもり?」「一番弱いのはあなたよ」と声を荒げる富樫。
「責任」の重さを口にするよりも、香田を解ろうとした元のように人と向き合ってほしい。そう告げて富樫は足早に退室した。

3週間後。
元の車に再び(しかも2枚も)張られた移動警告を、歩実が勢いよくはがしている頃、元は成見医師とともにリハビリに入っていた。
松葉杖で歩くのにもかなり慣れてきた元は回復までどれくらいかかるか成見医師に尋ねた。
2週間もすればほぼ歩けるようになるとの成見医師の答えを聞き、「ほぼ」ではなく「完璧に」歩けるようになるには…と改めて尋ねる元だったが、その問いへの答えは成見医師から出てこない。
完璧に治して早く空を飛びたいからどんなリハビリにも耐えると意気込みを見せる元に、成見医師は一般の人とパイロットの健康に大きな差があることは元自身がよく知っているだろうと、現実を受けとめきれていない元を見透かしたような答えを差し出した。

リハビリの様子を遠目に見ていた良治は、病室に戻った元を見舞った。
まず自分の煙草を勧める良治だったが、「パイロットは健康第一だから」と言ってそれを断る元。
良治は意を決して実家に戻らないか、と話を持ちかけた。
「空もいいけど海もいいぞ」としみじみ語り、パイロットを辞めたら他の仕事は務まらないだろう…と続けると、元が良治の言葉を制した。「他の仕事」とは元には聞きづてならなかった。他の仕事に向かうかなんて、パイロットが続けられるかどうかなんて、まだわからないと良治に食ってかかった。
しかし良治は落ち着き払って「無理だな」と追い討ちをかける。言葉を返せない元は病室を出ていこうとしたが、そんな元に向かって良治は現実を突きつけるような言葉を重ねていく。元はたまらず「うるせぇよっ!」と叫んで、怒りに燃える目で良治を睨みつけた。
良治「くやしいかも知れねぇけどな、…今のおめぇ見てると、オレもくやしいんだよ。…オレもぉ…」
良治はそう言い残して病室を出たところで、ドアを背に泣き崩れた。病室の中の元もまた、変えようのない現実に立ちはだかれ、どうしようもないくやしさをぶつけるように松葉杖を投げつけ、その拍子に床に転げたまま壁を背に座り込んで、くやしさに顔を歪ませた。

1ヶ月後。
駐車場の前を通り、それまであった元の車が跡形もなくなっていることに気づいて驚く歩実。
実は、退院を向かえた元が誠に頼んで、移動してもらっていたのだった。
成見医師にくれぐれも無理をしないように、と念を押されて病院を後にした元は、荷物持ち役の誠と連れ立ってマンションへ帰った。
松葉杖をついていてもエレベーターを降りた瞬間から隣の異邦人を警戒して行動が早くなるのは変わらない。急いで自室のドアの前まで行き、ポケットから鍵を出す元。
しかし、その努力もむなしく、隣の部屋から「ショウちゃん」と呼ぶ声が聞こえてきた。
「今からオレ”ショウちゃん”だからな!」
「オ、OK!」
「おまえ、この間なんて呼ばれてた?」
「え…ポール!?」
「ポール!?…」
何を確認し合っているのやら、この兄弟…(笑)と思うのも束の間、隣の異邦人が「どこ行ってたの〜?」と元に駆け寄ってきた。「こんにちは」と挨拶すると「あ、タカシ」と誠に笑顔を向ける異邦人。…って”ポール”じゃなくて”タカシ”じゃん。笑ってごまかす誠。
異邦人は真っ先に元の足に気づいた。
異邦人「ダイスケね!?…ダイスケにやられたのね?」
「いや、ショウちゃんダイスケに何もされてませんよ」
異邦人「わかったわ。私がダイスケをこらしめてやるから。ダイスケには、らっきょよ。らっきょしかないわ」
意気込んで部屋の中に戻る異邦人。「わかってねぇじゃん」と怪訝な顔をする元の前では、微妙な笑いを浮かべて顔が丸くなってる誠。…妙なひととき。

部屋に入ると、1ヶ月前に出社した時のまま航空資料がテーブルの上に広がっていた。
「必要ねぇだろ」と誰に言うでもなくつぶやいて資料を片づけると、本棚の中に水島キャプテンの肩章を見つけてしまう。肩章を手に取り顔をゆがめる元に、誠も声をかけられない。
そんな重い空気の中、インターホンが鳴った。
隣の異邦人だと思った元は誠を使った。しぶしぶながらも誠がドアを開けると、ドアの前に立っていたのは歩実だった。
部屋の中に通された歩実は元の投げたクッションにチョコンと座った。
元は誠に「これでなんか買ってきて」と、財布から1万円を出した。
誠は「…ったく、親子で同じことすんだから」と呆れながらも、元の気持ちを察して家に帰ると言って部屋を出ていった。

2人になって始めて出たのは「会えると思ってなかった」という元の言葉。「やっぱオレへこんでんのかな?」と口にする元の顔は笑っているが、悲しみが漂っている。そして元は、もう空を飛べないことを歩実に告げた。
しかし歩実は「飛行機乗っけてくれる約束守ってよ」と元を追いたてる。他の機長に頼もうとする元に「あんたじゃなきゃダメなの」と追いたてる。
元の沈んだ気持ちをおもんばかっていないような歩実の言葉に複雑な思いがよみがえり、思わず「帰れ」と行ってしまう元だったが、歩実は元を見つめたまま帰ろうとしない。
沈黙が続く2人の空間にまばゆいばかりの光がさしてきた。
おもむろに立ち上がり松葉杖を手にする元。そのまま2人はマンションを出て、歩実の運転で飛行機の離発着が見える海岸線まで車を走らせた。

海岸線に到着し空を見上げた元は、自分が久しぶりに飛行機を見たことを実感する。
そして、再び空を見上げ、太陽に手をかざした。手の中におさまるほどの太陽の光。
元「やっぱ下から見る太陽ってちっちゃいよな」
元はこみあげる涙もそのままに、初めてのジェット機での訓練で、でっかい太陽に手をかざした記憶を反芻した。
元は再び空を飛ぶことに挑戦すると、自分のためにも歩実のためにも絶対もう1度空を飛ぶ、と、涙ながらに宣言した。
そして、歩実と向き合った元は松葉杖を置いて、危なげながらも歩実との距離を縮める。バランスを崩したところを受け止めてくれた歩実に顔を近づけていく元。だが、ふと思い立って「空飛ぶまでおあずけにする」と歩実の唇に人差し指をたてた。
歩実「…ばか」
元はキスの代わりに力強く歩実を抱きしめた。

C.A.たちが集うフロアで、フライトを終えたうららと原田が元を肴に会話をしていると、当の元が松葉杖をついて現れた。
突然、しかも松葉杖に普段着で登場した元に、フロア全体が騒然となる中、元は本部長室へ向かった。
元は本部長にリハビリのための休暇を願い出た。「時間はかかるかもしれないけど必ず治してパイロット検査もパスしてみせます」との意気込みつきで頭を下げる元。
すると本部長からは「怪我をしても辞めたくないという奴もいれば、素晴らしい技術を持ちながら辞めてく奴もいる」とボヤかれてしまう。
…「辞める」…!?元が辞めるのは誰かと問うと、本部長の口から香田の名前が出てきた。元の転落事故の責任を取って今日のフライトを最後に辞職すると言う。
元は、本部長が机の上に投げ出した香田の退職願をつかんで、本部長室を出た。

香田は最後のフライトとなるロンドン便を終え、1人コックピットに残っていた。
本部長室を出た元は、松葉杖をついていると思えない、うららと原田が「はっやーっ!」と叫んでしまうほどの驚異的なスピードでフロアを駆け抜け、シップが見える場所へと急いだ。
ようやくシップが見える場所に辿り着くと、コックピットの機長席に座る香田が見えた。
香田は席を立ち、シップを降りる身支度を整えると、最後にシップへの感謝の意を表して深々と頭を下げた。

シップを降りた香田が淡々と歩いていくと、後方から香田を呼ぶ声がした。再び呼ばれたその声に気づき後ろを振り返ると、必死に松葉杖をつく元の姿が…。
「そこから動かないで下さい」と一声かけておいて、息を整えながら香田の前に立った元は、ずっと握りしめていてクシャクシャになった退職願を突きつけた。
香田は、訓練の責任者である自分が事故の原因を作ってしまったと自責する。
元は香田を助けたことを後悔していないと言うが、それでも香田は責任をとるには退職以外にないと思っている。そうして背を向ける香田に、なおも追いすがる元。
香田が事故の責任をとるということは、元が空に戻れないと思っているということ。それではまだあきらめていない自分はどうしたらいいんだと叫ぶ元は、勝手に見切りをつけないでくれと、12年前空を飛ぶことをあきらめられなかった香田のようにまだ空を飛びたい、中途半端では終われない、と続けた。
それだけ熱い思いで訴えられても「私は私の決断を通す」とその場を去ろうとする香田。だが元も引き止める。だったら、責任を取るというのなら、自分が復帰してキャプテンになるまで指導して下さいと言う元。
香田「私より立派なキャプテンはたくさん、」
「オレはあんたに指導してもらいたいんです」
香田「何故だ!」
「…決まってるじゃないですか。
  ホントに空が好きだって解ってないと、こんなこと頼めないっすよ!
  …お願いします。もう1回オレと空飛んで下さい。お願いします」
深々と頭を下げる元を前に、目頭を熱くする香田。そんな2人の頭上をシップが悠々と飛んでいく。シップをしばし見上げていた香田は、元が差し出した退職願を受け取り、その場で破り、きびすを返した。香田の後ろ姿を見送る元にも熱い思いがこみあげていた。

その後、元はリハビリを続けた。
成見医師は、時にはリハビリに立ち会い、時にはすさまじい勢いでリハビリを続ける元を少し距離をおいて見守り続けた。
そうしてリハビリを重ねる日々の中で、ある日、成見医師は元に「手術に挑戦してみましょうか」と持ちかけた。
曲がったまま癒合した腓骨と踵の骨を1度バラバラにし、再び真っ直ぐにするという治療法。それは一旦神経を切断し、再びつなぎ直すということで、もしうまくつながらなかったら最悪歩けなくなるという、成功率10%以下―10人の医者がいたら9人は勧めない難しい手術だと、成見医師は説明した。成見医師はあえてその手術を勧める1人になったのだ。
最終的な決断は元に委ねられる。
元は、自分を照らす太陽を見上げ、笑顔を浮かべた。そして成見医師に右手を差し出して握手を求めた。
元の固い決意を受けとめるように、成見医師も手を伸ばし、2人は10%の確率に全てを賭ける握手を交わした。

手術当日。
何故か学校があるはずなのに付き添う誠に文句を言いながら、手術室へ運ばれる元。
手術室の前では歩実が待っていて、心配そうに元を見送る。
手術室のドアが開きそのまま運ばれていく元は、おもむろに身体を起こし、歩実に向かって「待ってろよ」と言わんばかりに人差し指を突き出して笑顔を見せた。

4年前、初めてジェット機の操縦棹を握った時の嬉しさ、空と太陽の眩しさが、こうして元を奮い立たせる。
「夢だった」とはしゃぐ元に「その気持ち、いつまでも忘れるなよ」と言ってくれた教官の言葉通り、元が抱く空への思いは決して色あせることがないのだ―。

3ヶ月後。
元は再び復帰を誓った海岸線にいた。
まだ松葉杖は離せないでいるが、その顔は希望に満ちていた。
元は真っ青な空を舞うシップを見上げ、まばゆい光が降り注ぐ太陽に向けて人差し指を立てて、笑顔を見せた。
「待ってろよ、このヤロー」

 

☆★ 今週のキメゼリフ

 

☆★ この顔!この仕草!!ファン必見のリプレイポイント

 

☆★ 今週のベストショット

 

☆★ レポ担発信”ぶっちゃけツボなんです!”

 

 


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