縛られてブーたれてるノッチと白い特攻服で口を尖らせ立っているサングラスをかけた淳を両脇にしたがえて、拓哉が、ビシバシにニラミをきかせている。
☆ちょっとひといき 〜 本日の木村拓哉☆
- スリータックくらい入った太めのズボンに、超〜長い上着の、真紅の特攻服。
着流した上着からあらわな胸元が(きゃっ♪)。腹にはサラシ巻いてます。
上着にはいかにも特攻服!という雰囲気の刺しゅう文字が色々入ってます。
見えただけでもこんな(↓)に!
右袖⇒「帝毘遺頭杯」
左袖⇒「初代総長 木村拓哉」
右胸⇒「初代総長」
左胸⇒「東京御成門」
左裾⇒「80覇戦斗」「泡沫経済」
右裾⇒「嗚呼八阡萬円完済 金融列島津々浦々に 今宵最後の華咲かす」
背中⇒『TV’sHIGH』(タイトルカード)のロゴ、「初代総長
木村拓哉」
「帝毘遺頭杯」「夜桜と云えば聞こえはいいが(←この先があるけれど見えず・・・無念!)」
「・・・なんだ、その前髪ーっ!!」と脈絡がないながらも凄味の伝わる拓哉の叫びは、バリバリのヤンキー口調。
すくっと淳の横に立ち上がり、ズボンのポケットに手を突っ込む。
拓哉「うぉっす!」
淳「うぉっす!」
拓哉「あー、今回は、劇場型、犯罪を、思いっきりやらしていただきますっ。気合入ってんぞ、こらぁっ!」
淳「でも拓ちゃん、ツメが甘いよ〜。」
淳の左手にはCCGカメラ。拓哉の肩に手を置き後向きにする。
そして拓哉の特攻服にCCGカメラを近づけて、腰の辺りから入っている「帝毘遺頭杯」という文字に注目。
淳「ティー・ヴィー・ズ・カップだよ、これ。」
拓哉、上半身だけ向き直り「カーップ!!」と叫ぶ。
淳、ニラミのきいた拓哉の顔をCCGカメラで映し「気合入ってんな〜。」と、ひと言。
拓哉「なんで、オレらが今回こんなに気合入ってるかと言いますとー。前にぃ、フジテレビの編成からですね、8千万円、金借りてます!え、ですがぁ!今週、視聴率、80%以上取らないと、編成の、亀山、千広さんがぁ、本気をだしてー、え、自分をー、こうすると、言ってきましたぁ!」
TV局キッドのつまみを押すと、とある街の歩道を歩くサロンパスマン。BGMはウィダーinゼリーCM・歩く編の曲。
「はいっ!はいっ!はいっ!はいっ!はいっ!」と、「はい」の数だけカメラにローキックを繰り出す拓哉。かたわらで淳、大爆笑。
さらに「ぃやじゃー、ぅわりゃーっ!!」と叫びながら、もう一発カメラに向かってローキック。
「これで8千万チャラならいーじゃん。」となだめようとして言ったのに断固拒否!の拓哉に、淳もちょっと逆ギレ状態。
お互いキレたところで、拓哉はとりあえず進行に戻る。
拓哉「でも、先ほどー、また、亀山さんからー、電話がありましてー。本気でー、こうするかもしれないとー、言ってきましたー。」
再びつまみを押す。
ハチの固まり。その周りでもハチが飛び回っている。カメラが下からなめていくと1人の男がハチに覆われていた。
露出しているのは顔だけで、その顔は「平気だよ」と言わんばかりに笑顔だった。
女子レポーター「とうとう全身ハチで覆われてしまいました。一体これ何匹くらいいると思われますか?それではここで問題です。」
拓哉、「これはやだな」と、おびえるように正座。淳も右に同じで、サングラスをはずしながらチョコンと正座。
拓哉もサングラスをはずしながら話を続ける。
拓哉「えー、なので、今回は、特別企画!実況中継、木村拓哉、宇多田ヒカルを人質にアパートにろう城スペシャルどーん!」
淳「それはいい!」
拓哉「どれぐらいいいかと言うと、これぐらい、いい。」
つまみを押す。
ちゃんとフタをしたお湯のみ。フタを取る。
拓哉「実に、茶柱20本!!」
ノッチ「すーげー・・・」
拓哉「えー今回は、かなりスゴイことが起こりそうですが、最初からはっきり言わせていただきます。宇多田ヒカル!・・・ここにいません。」
淳・ノッチ「へっ!?」という感じで拓哉を見る。
拓哉「えー、2月の末までは日本にいて、えー、『HEY!HEY!HEY!』とか色々出てたらしいんですが、えー、今はニューヨークにいます。」
淳「そこで。先週拾ったこの、(薬袋をアップにして)『ウタダ様』と書いた、薬!」
拓哉「これをですね!えー、誰かが飲むと、宇多田ヒカルに、えー、変わっちゃうんじゃないかな!?ってオレらは思ってます。」
ノッチ「(せせら笑いながら)んなわけないじゃん。」
拓哉「うっせーなっ、このヤロー!!いいから飲めよ。」
おらおら、と、ノッチの両腕を持って薬を飲ませようとする拓哉と淳。そして抵抗するノッチ。
数十秒後、拓哉にアゴと肩を押さえられて身動きのとれないノッチは「マイ・ネーム・イズ・ウ、タダヒカル」と、うつろにつぶやいた。
さらに「ホワーイ!私はニューヨークにいるはずなのに」と言うノッチに驚いて、アゴを押さえていた手を離す拓哉。
「なんだかわかりませんが・・・」と言いながら後ろを探り、拓哉はタイトルカードを手にする。
「どうしてここにいるの?」と問いかけるノッチへの答えを濁すように、タイトルカードが画面を覆う。と、同時に流れる音楽。
「Automatic」を大声で歌い始めたノッチ。
拓哉「じょ、徐々に変わってきます。・・・まだ、まだ、えー、でもですね、えー、成功だと思います。」
淳「(ノッチを指差して)うる覚えだもん。」
拓哉「いや、見た目はノッチですけども、中身は宇多田ヒカルです。」
始めは日本語発音で歌ってたノッチの舌が回り始めて、宇多田ヒカルの特徴が現れてきた。
拓哉「えー、かなり宇多田ヒカルです!宇多田ヒカル!」
ノッチ「マイ・ネーム・イズ・ウタダヒカル。18才、ピチピチで〜す。」
拓哉は、ちょっと悪ノリしはじめたノッチの両腕をつかみ、部屋の隅に置いてあった特大の黒い箱にノッチを押し込みフタを閉める。
溜息ひとつ漏らしたところで、TVの音が聞こえてきた。
司会「ニューヨークの宇多田さんと中継がつながっています。宇多田ヒカルさーん!?」
拓哉と淳、部屋のTV前に駆け寄って見ると宇多田ヒカルが映った。
宇多田「こんばんはー。古い笛は死んだカメの匂いがしま〜す。」
司会「(怪訝な顔を見せつつも笑顔で)それでは歌っていただきましょう。宇多田さん、お願いしまーす。」
「♪紅茶のー、お酒、を〜」と雰囲気あるムードで歌ったかと思うと、ひと息おいて一転、ノッチの声で「探してるのにぃ」を歌い始めた。
拓哉と淳、うええっ!という苦い顔をする。
TVの中の宇多田ヒカルは次の瞬間ノッチになった。
拓哉「・・・なんだよ、これ。」
淳「これ、知る人ぞ知る、ノッチのヒット曲じゃねーかよ。」
拓哉「・・・ってことは、あれっ!?(TVの中のノッチをもう一度見て)・・あれ!?」
淳「こっちは?」
拓哉と淳、TVを消して黒い箱に近づく。
顔を見合わせつつ、黒い箱のフタを開けると、宇多田ヒカルが顔を出して「なんだ、ばかやろー。」
有無を言わさずもう一度押し込んでフタを閉める拓哉、淳と顔を見合わせる。あまりの驚きになかなか声が出ない。
拓哉「・・・宇多田だっ!!」
淳「やった、これで視聴率80%いくでしょ。」
拓哉「いや、いくよ、いくいく、いくよ。」
拓哉・淳「ばんざい!ばんざい!ばんざい!」
拓哉「えー、みなさん!えー、ここにですね、えー宇多田ヒカルを人質にとって立てこもったことを、宣言します!」
淳「はっはー、拾った薬なのに、すごいねっ!」
拓哉「・・・拾ったんだよねー!?」
淳「ぅへへへへっ!」
拓哉「ちょっと心配になってきた。」
もう一度黒い箱のフタを開ける。宇多田ヒカルだ。
ドアの方から「入りま〜す」とスタッフらしき男性が駆け寄り、おもむろに宇多田ヒカルのメイク直しが始まる。
ひととおり整えて「じゃ、お願いしま〜す」と去っていくスタッフ。つられて拓哉と淳も「お願いしま〜す」と一礼。
そのすきに黒い箱のフタを閉める宇多田ヒカル。
拓哉「閉めんなよ!おめー(怒)・・・ちょっ、なんか全然、あれだな、立てこもってるっていう雰囲気、ね、ねぇな。」
淳「ねぇねー。こんなんじゃね、緊迫感も何もないよ!」
拓哉「緊迫感!?」
淳「うん。」
宇多田「(箱の中から)ないね〜。」
拓哉、「おいっ!」と言いながらドンッ!と箱を叩く。
宇多田がちょっと驚きながら返事をすると、「人質なんだから『きゃー』とか言えよ」と要求する拓哉。
了解した宇多田とタイミングを合わせ、拓哉が「せーの」と言ったのを合図に箱のフタを開ける。
笑顔の宇多田、楽しそうに「きゃーっ!いえーっ!」と手を振りながら叫ぶ。
すぐさま箱に押し込めフタを閉める拓哉。淳も閉まったフタを思いっきり叩く。
宇多田の人質らしからぬ叫びにダメ出しを入れるのは拓哉。
もっと『助けて下さい』とか『な、なんでもします』とか、と拓哉が例を挙げたことで理解した宇多田。
頭回転さして言わないと欽ちゃんに怒られるぞ、とダメ押しする拓哉に、「はいっ!」と勢いある宇多田の返事。
この後、拓哉が「せーの」でフタを開ける→宇多田がモノマネする→速攻フタが閉められる、というのが繰り返される。
宇多田が披露したモノマネは海の動物シリーズ。アシカとイルカ。
披露する度に拓哉が「今の何?」と尋ねると、宇多田は英語で、しかもカメラ目線を送りつつ英会話講師のように答えた。
淳には「かわいい!」と大好評。
しかし、拓哉は厳しくて「TV見てるヤツがすんなり解ることやれよ!」とダメ出し。
次は無言でギターを弾く真似をする。しばらく続けてから突然吹き出す宇多田。
淳が「わかった!」と叫ぶと、宇多田は意外そうに「マジーッ!?」と叫んで淳を見る。
拓哉「誰?」
淳「ヘレン・ジョイクス」
ぱんっ!と手を叩いてからカメラに向かった宇多田がひと言「地味〜。」
拓哉「つまんねぇよっ!」
またまた宇多田を押し込んでフタを閉める。得意気な淳。
拓哉「なんでこいつだけわかってんだよ!オレ全然わかんねーっ!なんだよ!ヘレン・ジョイス・・・」
そこへ上野倉登場。
「緊迫感もへったくれもないじゃねーかよ!」と、今度は拓哉がダメ出しされる。
拓哉も勢いで「一生懸命やってんだよ、こっちは。バカヤロー!!」と言うと、今度は「バカ」と言ったことにダメ出し。
今日の姿はヤンキーでも中身はやっぱり拓哉、素直に「・・・はいっ!」と反省する。
そんな外の世界が見たいのか、宇多田が「う〜」とうなりながらフタをどんどん叩きはじめた。
上野倉に「開けろ」と指示された拓哉、渋い顔をつくりながらもフタを開ける。
箱の中から顔を出した宇多田の前まで歩み寄った上野倉は、色紙とマジックを差し出し態度一変。
上野倉「ちょっと、名前書いていただけませんか?ええ、すいません。」
宇多田「は〜い。」
上野倉「”あしながおじさんへ”って書いてくれる!?あの、日付いいですから、日付。はい。」
宇多田が書き終わって上野倉に返した色紙には”ノッチ”と書かれただけ。
上野倉「大人ナメんなよ、おめー。」
ショックが大きかったのか、ノッチの声で「紅茶の時間」を歌い始めた宇多田。
拓哉は「やばい!」と宇多田を押し込んでフタを閉め、何事もなかったようにトボケながら、いつものカメラ前に移動する。
上野倉と淳も一緒に移動して拓哉を囲む。
上野倉「ったく。ちゃんとやれよ!スルリとサぺスンスだろー。」
拓哉「何言ってんだよー!」
上野倉「とにかくよー、事件なんだからもっとこうハラハラさせろよ!」
拓哉「ハラハラ?」
上野倉「ハラハラ!」
拓哉、もう一度黒い箱の前に立ち、何のためらいもなく箱の真ん中に剣をすとん!と突き落とす。
「あぁぁぁぁっ!!」と手を上に広げて小踊りした後、今度は横からもう1本剣を突き刺す。
「♪たららららら〜ん たららららら〜らら〜ん」と手品の定番BGMを歌いながら踊り出す拓哉と淳。
しかし、上野倉の「ちょっと待て!」という叫びで、2人は踊るのをやめた。
これは手品っぽい。とすると、事件じゃなくて娯楽、だろ!?と上野倉に諭され、静かになった部屋で、ふと淳が気づいた。
淳「・・・声がしないね。」
拓哉「なんか、運がいんじゃないの!?(剣を1本抜いて)ほら、血ぃついてないもん。(もう一本抜いて)ついてないし。」
続けて、拓哉は得意げに「世紀の一瞬です!」とフタを開ける。
上野倉「(宇多田を)消してどーすんだよぉ!!」
拓哉、虚しくも箱の中で剣を回して宇多田がいないことを確認。
そこへノッチ登場、「おはようございまぁす」と挨拶した後、宇多田はニューヨーク(にいる)と言う。
うん、確かに。よく思い返すと、先刻の宇多田はノッチが薬を飲んだだけだし。・・・手品成功ってことか。
自分の手品でノッチを箱から出したのは拓哉なのに、ノッチに「何やってんの?」と尋ねる。
どうも、薬が切れたようだ。
淳が「じゃあ、もう一度」と言うと、拓哉が嫌がるノッチを後ろから羽交い締めにする。
淳は薬を取り出して、上野倉がノッチの足を押さえる。
あくまでも抵抗するノッチが拓哉と上野倉の手を振り切って部屋から逃げ出したので、拓哉・淳・上野倉も追いかけるように部屋を出た。
ノッチは倉庫のようなところに逃げ込んだ。かなり遠くまで逃げてきたようで息も絶え絶えといった様子。
「うぉりゃ〜」と拓哉の声がしたかと思うと、拓哉・淳・上野倉の3人は自転車で登場。
自転車なのに3人の息も上がってる。
ノッチを捕まえようと突進する拓哉たち。すると、びょん!という音がしてワープするノッチ。
拓哉たちは一瞬戸惑い倉庫の中を見回すと、「きゃっ!なんかモテモテ!」と嬉しがるノッチが後ろにいてビックリ。
また突進する拓哉たち。同じように、びょん!という音の後またワープするノッチ。
今度は拓哉たちの後ろの階段に座って「木村拓哉と村上淳が、私のことを追いかけている。夫には悪いけど、うれし〜っ!!」と本音(!?)を叫ぶ。
懲りずに突進した拓哉たちだったが、拓哉が階段の手すりに手をかけるとまたまたワープするノッチ。
今度は駆け込んできた入口の方にいて、「夫には悪いけど、うれし〜っ!!」と言った後そのまま外に逃げ出して行った。
入口のところまで駆け寄り、でもまんまと逃げられたことを確認した拓哉は「ちっくしょー」とつぶやきながら倉庫の中に戻る。
倉庫の中に戻ってすぐ「おい、何やってんだ?おまえら。」と拓哉。その目に入ってきたのは、床に転がった小中ももこの上に馬乗りしているマチコ。
マチコ「中国征服王朝ごっこです。今ちょうど元が宋を滅ぼしてるとこなんですよ〜。」
拓哉「いや、あの〜何言われてっか全然おにいさん、わかんないんだけど・・・」
消えたはずのノッチ、ぶぉん!という音とともに現れて、「夫には悪いけどうれし〜っ!」と言っただけで再び逃げ出した。
慌てて追いかけ倉庫を出て行く拓哉・淳・上野倉。・・・と思ったらすぐ戻ってきた。
自分に言い聞かせるように「冷静に」と言う拓哉を囲んで、話を聞く体勢になる淳・上野倉・マチコ・小中。
拓哉は、あの薬を誰が飲んでもいいってことに気づいたのだった。淳と上野倉も、拓哉に言われて気づく。
ちょっと嬉しそうに「私ですか?」と尋ねる小中を尻目に、拓哉はマチコを指名する。
上野倉「へっ!?おい、ちょちょちょちょちょっと待てよ、おまえ。これ、オレの娘だぞ。」
拓哉「(上野倉の耳元で)宇多田ヒカルに、変われるんだよぉん。」
上野倉「あっ・・・娘を、嫁に出したと思えばいいんだ。」
拓哉「そ、そうそう。」
マチコ「お父さんは相変わらず人間のクズですね。」ニコッ。
上野倉「えへっ!へへへへ〜」
そこへ無事逃げたはずのノッチが戻ってきた。
ノッチ「あの〜、今までクラスでNo.1だったのに、転校生が来て、No.2になった気分です。」
マチコ「その通りですよ。」ニコッ。
密かに火花散るオンナの争いに目もくれず、拓哉は手の中の薬袋を出してきた。
飲ませてなるものかっ!とばかりにノッチが「てぇいっ!」と払ったため、薬袋は拓哉の手から飛んでいった。
拓哉、「何すんだよ」とちょっと怒りながらも薬を拾い集める。
拾い集めた錠剤は3つ。でも、よ〜く見るといろんな色があるようだ。
淳によると、そのうちのどれかは前(ノッチが飲んで宇多田に代わった)のと同じ種類らしい。
それを覚えていない拓哉は、とりあえず試してみっか!?てなノリで、真っ先にノッチに「飲んで」と薬を差し出す。
ノッチ「なんでいっつも私なんですか?」
拓哉「なに?その言い方ー。じゃ、いや、わかった。じゃあ、わかった。そういう言い方すんだったら、みんな順番にポーズ取ってもらって、いっちばん可愛い子に飲んでもらう。」
淳「いいね、それ。」
ノッチ「それじゃぁ、同じじゃーん!(←嬉しそう)」
拓哉「じゃ、まずは。ももこ!キューッ!!」
小中、手を前で組んで片足を曲げてちょっとキャイ〜ンっぽいポーズ。
結構手応えアリな反応の男衆。
拓哉「次、マチコ行くぞー。はいっ、キューッ!!」
マチコ、グリコマークのマッチョマンポーズを綺麗にきめる。
ミニスカートから見えそで見えないラインがいいっ!とオヤジな解説を入れる拓哉。ということで、かなりの好評を得る。
拓哉「じゃ、最後、ノッチ!」
ノッチ、1歩前へ出て、腰と胸をを突き出し、悩ましい表情の顔を作り、その前に伸ばした右手の指をクネクネさせて品を作る。
男衆、大絶賛の声をあげる。ということは。はい、薬を飲む人はノッチに決定!
拓哉が歩み寄り、ガシッとノッチを抱き寄せ薬を飲ませようとする。
ノッチ「しまった!女の、意地の、張り合いに、負けてしまっ・・・」
拓哉に羽交い締めにされたノッチ、抵抗空しく、淳の手で薬を口に入れられ、「あーっ!」と叫んだ。
ぶぉん!と変身音がしたと思うと、小中とノッチの立ち位置が逆になる。
「つまんねー」とボヤいた拓哉は、早くも2つ目の錠剤を手にする。
2つ目のチャレンジャーには小中を指名。
「えーっ!!」と明らかに嫌そうな叫びをあげる小中に、「飲めっ、おらーっ!!」と鶴の一声。
小中は「はいっ!」と返事をすると、薬を口に入れて、ぎゅっとくいしばる顔のまま飲み込む。
ぶぉん!という変身音で、またノッチとの立ち位置が逆、結局入れ替わっただけに終わる。
拓哉は「ぜんっぜん面白くない」と、ますますボヤきつつも最後の錠剤を手に取ろうとする。
しかし、どこからともなく現れた木村Yが最後の錠剤を飲み込んでしまった。驚きのあまり固まる拓哉。
木村Y「あーっ、あーっ。マイ・ネーム・イズ・宇多田ヒカルです。」
拓哉「『です』って、普通マイ・ネームだったら、ヒカル・宇多田、でしょ!?あ、でも、変わってきた!?」
だんだん腰を振り始めてマイクを持つように手を口元に持っていく仕草をする木村Yを連れて、急げ!とばかりに倉庫を出て行く男衆。
そして拓哉の部屋。駆け込む拓哉、淳、上野倉に連れて来られた木村Yがカメラの前に座る。
拓哉「えー、みなさん、お待たせしました。えーとですね、えー、ご覧の通り、あ、ごめんなさい!お聞きの通り、宇多田ヒカルです!」
木村Y「(ドスのきいた声で)ヒカル・宇多田です。」
拓哉「・・・ちょっとまだアヤシイので、少々お待ち下さい!」
無理矢理木村Yを立たせ、黒い箱に押し入れてフタを閉める。落ち着いたところでひと息もらす拓哉。
淳「じゃ・・・本物は?」
拓哉「本物は、今どーなってんだ!?」
TVをつける。♪Automaticを今まさに歌おうと前奏に合わせて踊る宇多田ヒカル。
歌い始めたその声はいきなり太く、映っていた宇多田も木村Yに変わる。
・・・てことは、箱の中身は?
拓哉は黒い箱を指差しつつ、もう片方の手で慌ててTVを消す。そして黒い箱のフタを開けると。
出てきたのは木村Y。
拓哉「なんでだよっ!」
木村Y「だんだん私っぽくなっとるんすかね?」
拓哉「私って誰だよ。」
木村Y「宇多田やんか!」
拓哉「『やんか』じゃねっ!」
木村Yを押し込めフタを閉める。
拓哉「『宇多田やんか』、『やんか』ってなに?」
上野倉「何べんも言うけどさー、スルリとサペスンスがねぇんだよっ!」
拓哉「・・・スルリとサペ、サ、サス・・・」
玄関からオルゴールの音が近づく。見ると宮藤がオルゴールを手に拓哉の部屋にそろそろと入って来た。
オルゴールの曲は、かつての某局火曜サスペンス劇場主題歌である「聖母(マドンナ)たちのララバイ」(@岩崎宏美)。
部屋の真ん中までたどり着いたところで宮藤、オルゴールのフタを閉じる。
「呼びました?」と尋ねる宮藤に、うっとうしい・・・といった顔をしながら「呼んだ、呼んだ」とあしらう拓哉。
宮藤はとりあえず放っておいて、淳と拓哉、立ち上がって再び黒い箱のところへ。そして拓哉がフタを開ける。
宇多田ヒカルが顔を出し、脈絡もなく1枚の写真をカメラに向ける。それは、昔ながらの青果店の店先。
衝撃映像、「果物屋さんが看板を新調したらこうなった。”くだもの・だもの”」ニコッ。
拓哉「これ、まだ祐一さん残ってんじゃねーの?」
宮藤「やっぱりシンナー吸わせた方がいいんじゃないですか?」
拓哉「吸わせねーだろーよぉ。(怒)」
淳「ま、ね、顔は宇多田だからさ、とりあえず出そうよ。」
拓哉が「早く出ろ」と宇多田の腕をつかみ、ちょっと乱暴に箱から連れ出していつものカメラ前に座らせた。
宇多田の周りを男衆が囲んだところで、拓哉がカメラに向かって宣言する。
拓哉「えー、皆さん。えー、ワタクシ木村拓哉、えー、宇多田ヒカルを人質に、ろう城してまっす!」
拓哉、誇らしげにピースサイン。宇多田も満面の笑顔でピースサイン。
拓哉「見て下さーい!」
宇多田「(手を振りながら)見て下さい!」
上野倉「おい・・・それじゃダメだろうよー。せっかく人質とってんだから何か要求しろよ!」
ずーっと宇多田と一緒にカメラアピールを続けていた拓哉が反論。
拓哉「いや、要求って、だからしてるじゃないすか。見て下さーい!」
宇多田「(手を振りながら)見てね〜!」
上野倉「いや、だからそれは要求じゃなくて告知だろうがよー。」
拓哉「要求って、だから、別に何?ただ見てほしいだけですから。(ちょっとすごんで)見て下さーい!」
淳「うーん・・・見てもらうためには、どうすればいいか。」
上野倉「なんか、面白いことすればいいんだよ。」
一同うんうんとうなずきつつも考え中につき、しばしの沈黙。
淳「・・・それって、一周回ってません?」
一同考え中につき、再び沈黙。
拓哉「・・・面白いことしよ。」
淳「うん!うん!」キラキラと子供のように顔を輝かせる淳。
拓哉「じゃ、何しようか。面白いことだから・・・」
宇多田「あ、大喜利!大喜利にしま、大喜利やりましょうよ。」
腕組みをして自分の答えに満足そうな宇多田の頭を、がしっとつかんで左右に振る拓哉。
拓哉「おまえ、祐一さん残ってんじゃねーか!?おらー。」
宮藤「やっぱりシンナー吸わせた方がいいですよ!これ、絶対。」
拓哉「帰れっ!!(激怒)」
上野倉「帰れよー、おまえ。」
宮藤、迫力に押されすごすごと拓哉の部屋を去る。
天からフリップが舞い降りる。【誰がBIGか対決】
オルゴールの音がオープニングを飾る。曲は♪エリーゼのために から、いつの間にか「笑点」へ。最後のキメはラッパ音。
拓哉「あ、あ、ぷふぁっておま、そこだけオルゴールじゃねーじゃねーかよ。」
ささ、3人スケッチブックを持って、まずはこれ。【家のリビングは?】
拓哉「失礼しま〜す!」≪15畳≫
淳「(拓哉に向かって)わり〜な。」≪約18≫
宇多田「家はね・・・」≪広≫
上野倉「・・・ひろっ!!」
拓哉・淳・上野倉、言葉もなくきょとんとしている宇多田を見る。そして一斉に「勝ち!」とひと言。
宇多田、「つぉぇぃっ!」とガッツポーズで気合一発。
次っ!【どのビッグと同じ誕生日?】
宇多田≪森おう外≫
これはすごい!かっこいい!と賞賛を浴びて調子に乗っちゃった宇多田、もう一人いる!とスケッチブックをめくって見せる。
宇多田「はいっ!」≪ウド鈴木≫
拓哉・淳・上野倉、言葉もなく一瞬静止した後、得意気な宇多田に、「はいっ、負け。」と速攻の敗北通告。
不満そうに自分の書いたスケッチブックを見ている宇多田に、拓哉は追い討ちのひと言、「仕込み過ぎ!」
次っ!【私の日常】
上野倉「えー、普段、私はビッグですからこんなことをやってますっていうことを、皆さん自慢して下さーい。」
拓哉「はいっ!失礼しやっす!」≪無視≫
上野倉「はい、無視ーっ!!・・・ビッグ!」
淳「わかる、わかる。」
はい、お次は・・・淳。
淳「あんまり」≪おフロ入りませんね≫
宇多田、「え〜!?ちょ、ちょっと・・・」と、狭い部屋の中で、めいっぱい淳から離れようとする。
淳「いい意味でね。」
上野倉「いい意味で?」
淳「うん」とうなずきながらもバツの悪い表情で照れ笑い。
この話題を引っ張らないほうがいいと思ったのか上野倉、宇多田に振る。
宇多田「私・・・(自分の答えを見て躊躇しながらも)今!≪今、パンツ2枚(イラスト入り)≫パンツ2枚、はいてます!」
上野倉「ビッグ!」
宇多田「えへっ♪」ニコッ。
その後恥ずかしそうにスケッチブックで顔を隠す。拓哉は何か言いたげな顔でじーっと宇多田を見る。
飾らずカミングアウトした宇多田に好印象を持った上野倉と淳が、もう一度見たい!と言い出したので、リクエストにお答えしてスケッチブックを見せる。
でもやっぱり、すぐひざの上に置いて恥ずかしそうに下を向く。
淳「もう1回出すとね、もっと恥ずかしくなってくるんだよね(笑)」
拓哉「もう1回見たい人ー。」
拓哉・淳・上野倉「はーいっ♪」
淳「3対1!」
宇多田「いやぁー、もう!(笑)」
拓哉「早くしろぃ。人質だろ!?おめー。」
宇多田「はいぃ!はい、わかりましたー!」
もう一度≪今、パンツ2枚(イラスト入り)≫を見せる。周りの3人、大喝采。
拓哉「あ〜!恥ずかしい!!恥ずかしーっ!!(喜)」
次のフリップ【実は私ブータンで○○しました】が出たところで、ようやく拓哉から軌道修正が入る。
拓哉「ちょっと待って。これはさ、事件でも何でもないでしょ!?今やってることって。」
上野倉「娯楽だね。」
拓哉「でしょ!?人質がさ、なんでこんな・・・真ん中に座ってさ、一番大喜利を楽しんでるわけよ。・・・箱、戻れよ。」
宇多田のスケッチブックを向こうに投げて立ち上がろうとする。
淳「え、もう終わり!?」
宇多田「え、いいの!?お、大喜利・・・(「笑点」のメロディーで)♪ちゃんちゃちゃちゃらりら」
拓哉「いいから!」
宇多田の腕をつかんで無理矢理立たせて箱の方へ連れて行く。
拓哉「っつーか、立つ時くらい自分の力で立て!そういうところがビッグ過ぎるんだ、おめー。いいから入れっ!」
宇多田を無理矢理箱の中に押し込みフタを閉める。閉めたフタにハイキックを繰り出す淳。
拓哉「もう、だめだよ、これさぁ、娯楽じゃないんだよ。事件じゃないとだめなんだからさぁ、これ・・・」
ぶつくさとカメラ前に戻りながらヤンキー座り。所在なげにそこらの髪やサングラスを手に取る拓哉。
その背後ではホテルの窓から顔を出す青島と、それに気づいた上野倉の間で、何やらアクション伝達が行われる。
上野倉「これ、事件になるわ!」
拓哉「はいっ!?」
宮藤「おーかみさぁぁんっ!事件ですよーっ!」
拓哉「『時間ですよ』だろー!?おめー。」
ヤクザさん「そうです、事件の時間です。」
いきなり入ってきて拓哉の後ろを横切る見知らぬヤクザさん達に驚く拓哉と淳。
「事件ってのは、こうやって起こすんだよ」と言いながらドカドカと箱のところまで入り込んだヤクザさん、3人で黒い箱を部屋の外へ運び出す。
拓哉「危ない、危ない!」と連発するも特大の箱が背後を通るため身動き取れず。
淳は武器にならない部屋の小物を投げてささやかなる抵抗。それもヤクザさんの一喝にビビって効果なし。
宇多田入りの箱はあっさりヤクザさんの手に渡ってしまった。
淳「一体どうなってるんだ!?あいつらはよー。」
ヤクザさんが去った後すごみを出しても意味はなく。でも、サングラスをかけ直した拓哉はどんどん怒りが燃えてきたよう。
拓哉「あったまきた!!特攻隊長ーっ!」
淳「うぉっす!」
拓哉「行くぞーっ!!」
バタバタと部屋を後にする拓哉、淳、宮藤、上野倉。
誰もいなくなった拓哉の部屋にノッチがのんびり鼻歌まじりで入ってきて、カメラの前に座る。
「んっ!?」と手に取ったのは、宇多田ヒカルの薬袋。袋を逆さにすると、手のひらに最後の錠剤が落ちてきた。
ノッチ「なんだ、これ?しましま。んー、どうなるかわかんないけど、前より悪くなることはないだろう!
・・・飲んじゃえっ!(ぱくっ。)・・・ん゛っ!」
ノッチ、ヘの字口でふんばったところでCMへ。
突き抜けるような青い空のした、トラックが何台も止まっている埠頭の近くらしき道路で、白い軽トラックと白いmarch(日産製の乗用車)とのカーチェイス。
軽トラの荷台には、奪われた黒い箱が乗っていた。
白いハッチバック、運転手は淳。拓哉は助手席で木刀片手に、何故か淳の耳元で「わんっ!わんっ!」と吠える。
後部座席の真ん中に背後霊のようにたたずんでるのは、茶色いニット帽がピーカンの青空の下ではヤケに暑く見える宮藤。
淳「朝だよぉ!眠くなってきちゃった、ボク、眠くなってきちゃったよぉぉ!」
拓哉が「おらぁ!おらぁ!」と気合入ってる中、淳はこう叫んだ次の瞬間、ハンドルを握りながらクテッと眠りについてしまった。
蛇行して派手なブレーキ音が響く。
拓哉「・・・わわんっ!わんっ!わんっ!」
淳、拓哉の叫びに飛び起きる。なおも吠える拓哉。気合十分なのに、なかなか前を行く軽トラに追いつかない。
拓哉「飛ばせねぇのかよ!」
淳「限界っすよ!」
拓哉「おぉい、早く!早くしろよっ!(宮藤に向かって)おい、こうゆう時どうすんだよ。おめー、何とかしろよ!」
宮藤「ボ、ボクにはこれしか出来ません!」
持っていたオルゴールのフタを開ける。「聖母(マドンナ)たちのララバイ」が流れ始めると、宮藤は「いい曲だな〜・・・」と気持ちよさそうに陶酔。
淳「・・・あれっ?」
拓哉「あれっ??」
ネジ巻き度が限界のようでオルゴール音に力がなくなっていく。それに反応するように、車のスピードも段々落ちていく。
拓哉の叫びや車を叩いたりという悪あがきの甲斐もなく、車のスピードは落ちるばかりで、とうとう止まってしまった。
拓哉「・・・これ、どうすんだよ!?おい・・・」
淳「おいっ。・・・オレら、超〜やばい状況になってない?」
拓哉「・・・そうだね。」
淳「そうだよねぇ。」
拓哉「そうだ。」
淳「そうだよ。宇多田ヒカルが行方不明だよ!?」
拓哉「・・・うん、そうだね。」
淳「TVを見てる人はぁ、ボクたちが誘拐したと思ってるよね!?」
拓哉「・・・そうだね。」
淳「フジテレビに、8千万、借金あるよね!?」
拓哉「・・・ぅ、あ〜、そうだね。」
拓哉と淳、ふと思い立って後部座席を見ると、オルゴールを抱えた宮藤が眠っているようにそこにいた。
拓哉「・・・死んでるね。」
淳「そうだね。」
道路の真ん中で拓哉たちの乗った車だけがぽつんとたたずんでいる。
拓哉「・・・逃げよっか。」
淳「Here we go!」
拓哉「Go!Go!」
淳、再びハンドルを握る。助手席側の後部座席ドアを開け、宮藤を路上に転げ落とす。
そして拓哉と淳は白いmarchに乗って走り去って行った。
ところ変わって、何処かのゴミ収拾場。
黒塗りの高級車に乗って、現れたのは青島と上野倉。
青島、携帯を取り出して電話を掛ける。
青島「・・・あ、もしもし。・・・宇多田ヒカルくんはね、今我々の手の中にあるんだよ。返してほしかったらね、スイス銀行の口座に、3億円ばかり振り込んでもらいたいな。また連絡する。うん。」
電話を切る青島。
上野倉「ま、これで個人的にバブルが起きるってことなんすかねぇ・・・。あっ、だけど青島さん、これ、本気なんすか!?」
上野倉、手にしている新聞を青島に見せる。一面トップに青島の写真と「青島幸男・自費で都市博開催」の文字が踊る。
青島「まぁな。」
青島、上野倉に無言のまま手で前に歩くよう指示をする。「はい」と返事をし2〜3歩前へ。
そこには宇多田が押し込められた黒い箱が。上野倉、交通整備のライトで箱のフタを叩く。
上野倉「宇多田〜。宇多田〜。ちょっと出て来てくださ〜い。・・・宇多田さ〜ん。」
フタが開くと出て来たのは木村Y。そして口ずさむ。
木村Y「♪イッツ・マーニファークチャ」
渋い顔の青島と呆然とする上野倉は顔を見合わせる。
青島「なんじゃ、こりゃ!?」
遥か遠くからの俯瞰映像に切り替えられる。ゴミの山に囲まれた3人。
上野倉「私の家庭はオートマチックじゃない、ってことじゃないですかねぇ・・・。」
木村Yと上野倉、お互いにつつき合って暗転。
そこは牛丼屋。
カウンターの中では、リーゼントにサングラスは相変わらずでもオレンジと白のストライプのシャツを着て青いエプロンをつけて、牛丼屋の店員しちゃってる拓哉と淳。
淳は新聞を読みふけり、拓哉は音楽に合わせてラケット代わりの手で卓球のスマッシュを繰り出す。
BGMは「Can You Keep A Secret?」(@宇多田ヒカル)
BGMの発信元であるTVに目を留めて拓哉が「あれ!」と指差す。
拓哉「ノッチじゃねぇの?」
TVの中では、宇多田の声を持つノッチが軽やかにその歌を歌っていた。
拓哉「ほら。」
淳「そんなことよりさぁ、なんかオイシイ話、ないかな〜・・・。」
拓哉「おまえ、真面目に働けよー!」
淳「あっ!」
淳、見ていた新聞を拓哉にも見せる。一面トップに青島の写真と「青島幸男・自費で都市博やっぱり中止」の文字が踊る。
店の電話が鳴る。
拓哉「はい、もしもしー。宅配牛丼、(力を込めて)『牛、メンーーーッ!』です。」
電話「(ノッチの声で)すいませーん、あの、お願いしたいんですけど。」
拓哉「はい。」
電話「えっとー、牛丼特盛、肉ナシ、つゆだくで。」
拓哉、口の端を上げてニヤッと不敵な笑みを浮かべる。
拓哉「・・・あの、すいません。もう1回、オーダーお願い出来ますか?」
電話の応対をしながら淳の背中を叩き、振り返った淳の耳に受話器をあてる。
電話「はい。いいですかぁ?」
淳「はい。」
電話「牛丼特盛、肉ナシ、つゆだくで。」
淳、思わず吹き出す。拓哉、自分の耳に受話器を戻して。
拓哉「はい、わかりました。少々お待ち下さい。」
拓哉、手に持ち歩いていた電話を元の位置に戻す。その隣にはTV局キッド。
感極まってエプロン噛んで涙ぐむ淳を背に、待望の注文客に思わずガッツポーズした拓哉、TV局キッドを愛しげになでなでする。
ぴんぽーん・・・とインターホンの音。TV局キッドの備品カメラからの映像のようで、音しか聞こえない。
注文客「はーい。」
拓哉「あっ、ちょっと待ってください!玄関開ける前に、(力を込めて)『牛、マンーーーッヌッ!!』って言ってもらえます?」
注文客「なんで!?」
拓哉「言うと30円引きになるんすよ。」
注文客「へー・・・(せき払い)・・・『牛、マンーーーッヌッ!!』」
拓哉「ふははっ、そんなに30円が惜しいんだ・・・。」
ドアが開く音。
拓哉「はい、3,200円になりま〜す。」
注文客「たっかいな〜!」
拓哉「いや、今景品ついてくるんですよ。」
注文客「なに、それ?」
拓哉「TV局開局キッド、っていうんですけどね。」
注文客「はっ!?」
拓哉「はい、よいしょっ!」
目の前が明るくなる。出前持ちのフタが開けられ、中を覗き込んだ注文客は宇多田ヒカルの姿をしていた。
拓哉「はい、お待ちどうさま!(中から牛丼を取り出し)とりあえず牛丼ね〜。」
さらに置くまで覗き込んでくる宇多田。拓哉もその脇から一緒に覗き込む。
宇多田「なに、これ?カメラ!?」
拓哉「・・・わかります!?これね、今・・・(サングラスをはずして)放送してるんですよ。」
宇多田と拓哉、どちらからともなく横を向き、2人にらめっこの状態になったところで、出前持ちのフタがすごい勢いで落ちてきた。
【いつかにつづく】
☆ おまけのエンディングロール ☆
スタジオ内の打ち合わせ。会議用の長机を6枚合わせてコの字型に囲む出演者達。
画面向かって左手前から拓哉、宇多田、木村Y、宮藤、一番奥中央にマチコ、右奥から淳、上野倉、ノッチ、青島。
今回の衣装のまま、真剣ながらも和気あいあい、いい雰囲気で打ち合わせは続いている。
・・・かと思ったら、全員拳銃を手に、カメラに向かって一斉に銃口を向け一発ぶっ放す。中央に風穴が開いて結。
☆ ちょ〜御勝手感想 from.レポ担 ☆
赤い特攻服に、のっけからK.O.くらっちまいました。だって、はだけた胸元が・・・きゃっ!いいぞっ(爆)
胸元が見えるということは鎖骨ものぞく・・・ということで、鎖骨フェチの私には超ツボツボな井出達でしたわん♪
腹に巻いたサラシがこれまた男っぷりを上げてますわ。
白い特攻服の淳くんもメチャメチャ似合っとりました。拓哉と並んでると迫力の2ショット!ノッチが「夫には悪いけど嬉しい〜っ!」と叫ぶ気持ちがよぉぉぉく解りますです(*^v^*)。ちゅーても、私に旦那はおりませんが・・・(笑)
Hikkiが本当に出演するとして、人質になるとして、最終回にだけだし、どんな設定でどんな風に入ってくるのかなぁ・・・と思っていましたが、いい流れでしたね〜。
ノッチがヒカル!?ヒカルが祐さん!?祐さんの宇多田ヒカルには参った!(笑)
あのクネクネした動き(とてもダンスとは言えない・・・(爆))は、この番組のボーナス映像だと思います。(・・・マジで!?(・_・;))
で、最後の最後までノッチとHikkiが元に戻り切ってなくて、でも「だから、それが何?」といった感じで
何事もなく時間が過ぎてるのが、まだ何かあるんじゃないか?と期待させてくれますね。
まさにパラレルワールドです。
とりあえず、半年間繰り広げられた「TV’sHIGH」は「終わり」という文字を打ち出してはいません。
いつかまたこの「TV’sHIGH」の世界が続くかもしれないし、今も何処かで少し姿を変えた世界で続いているかもしれない。
そんな期待を抱きつつ、木村くんの新しい可能性を心待ちにしたいと思います。
長いこと、この拙いレポにおつきあい下さった皆様、そしてこの機会を与えて下さいましたTARAさん、本当にありがとうございました!!
心からのKANSHAの気持ちを込めて・・・。 |