眠れる森
A Sleeping Forest



第二幕 ◆ 「つきまとう男」


Reported By No.474 ELLE


<夜の植物園>

ひとりで残業している実那子。
不意に事務所の電気が消える。不信に思い温室内を見回りに行くと確かに人の気配がある。

実那子「だぁれ?」
分電盤の蓋が開いている。ブレーカーを上げようと近づいて手を伸ばしかけ、誰かに腕をつかまれ驚いて脅える実那子。
直季 「しっ、しぃしぃ」「俺だってば」
人差し指を立ててにやりとしながら直季が実那子の前に現れた。
直季 「木に宿る」
   「バンダの語源ってさ、サンスクリット語でそう言う意味があんだよね。
   何が宿ってんだろう、人間の魂かな?」
   「バンダは日に充て過ぎると長持ちしないよ」
振り返ってまたもや、にやりと笑い
直季 「よく勉強してるでしょう」

声も出ない実那子にはお構いなしで、回りを見回して「すごいなぁ」などと勝手にしゃべっている。
どうにか体制を立て直した実那子が「何なの?一体」と尋ねれば、むっとした表情で「いったろ、アンタは、俺の一部だって」と詰め寄り、脅える実那子に「ごめん、なんか脅かしちゃった?」と問い掛ける。

恐怖で思わず逃げ出した実那子が電話を掛けようと受話器機を取った瞬間、明りが点く。

直季 「警察はないんじゃないの?フッ、久しぶりに逢った幼なじみに……」
実那子が向き直って聞いた。
実那子「用は何?」
直季 「ん?話し途中で終わっちゃたから」
実那子「あれ以上話す事なんてないわよ」
直季 「俺にあるの」
実那子「はっきり言わせてもらうけど、貴方ってすごく気持ち悪い」
直季 「でも、興味あるだろう」「ん?この男いったい何考えてんのかなぁって」
実那子「ないわよ!側にこないで欲しいだけ」
直季 「はぁ(ため息)、エリート商社マンと結婚してしばらくは共稼ぎ?彼のお父さんから
   美術の薫陶を受けて蘭の花や絵に囲まれた山の手の若奥様ってやつ?」
   「ね?子供は何人ぐらい産むの?」
実那子「大きなお世話よ」
直季 「日だまりの様な幸せってやつ?」
実那子「そうよ!」
直季 「人間なんてね、みんなそんなものに満足しちゃいないんだよ!
   どんなに金を儲けても、こうやってどんなに物に満ち足りても、みんな不満だらけで
   生きてくんだよ。自分にはもっと別の幸せがあったんじゃないかって。」
   「底無しの欲望で一生、生きて行く事になるってそう思わないか?ん?」
実那子「思わないわ、私は今のままがいいの」
直季 「それはただ諦めてるだけだって!自分の人生なんてこの程度で良いって、
   自分に言い聞かせてるだけだよ。間違ったもの、つかんじゃった言い訳?」
   「(ため息)3ヶ月後に結婚。それで自分の人生は、はい一丁あがり、お疲れ様。
   ため息でるな」
実那子「人生は一寸先は闇なんでしょう?貴方、森でそう言ってたのよ。
   何かが私の人生にも起こるなら、中々面白い人生じゃない」
その実那子の言葉を聞くと直季は何も言わずに出て行く。

……後をつける実那子。

 

<直季の仕事場>

車を降りて歩き出す直季の後を、タクシーで追ってきた実那子も歩いて後を追う。
仕事をする直季を確認して帰っていく実那子。

その後ろ姿を、横目で見送り満足げで不敵な笑みを浮かべる直季。
[この時の、不気味だけど素敵な(私的には)微笑みが、どうしても上手く文字にできませんでした。力不足~。]

 

≪タイトル・バック≫

森の中のハンモックで眠る実那子
白い大輪の蘭の花を手に空を見上げる直季
雨の降る森の中を追われる様に走る輝一郎
敬太と由理が見送る
走り出す直季

木陰にたたずむ国府
逃げて逃げて崩れ落ちる輝一郎
セピア色の少年と少女、駆けて来る直季(実那子の夢の中?)
目覚める実那子

たどり着く直季と待っている実那子

≪主題歌≫

竹内まりや『カムフラージュ』

 

<直季の部屋>

アルコールを飲みながら敬太が調べて来た輝一郎の身辺調査結果を直季が聞いている。

敬太「坊ちゃん育ちなのに、脛はかじってない。感心だね」
直季「こいつの事、とことん調べてくんない?」
敬太「いいけど………これ以上は高いよ。」
直季「35歳で初婚のエリート商社マン。父親は有名な画家。
   叩けば埃、出てくるでしょう。」
   「丸裸にしてあげましょ、仕事も生活も全部。
   それも、自分から進んで捨てる様にしてあげる。」
敬太「出来ると思ってんのかよ、ホントにそんな事が。」
直季「………」(フッと笑う)

実那子の事を聞かれて

直季「ん、生まれたての雛鳥は、
   目の前にいたのがハイエナだろうが何だろうが親に見える。」
敬太「…………?」
直季「………解んなきゃいいよ」「レモンは……」

敬太が由理の事を聞く

直季「何、話し変えてんだよ」
ひょっとして実那子が原因かと聞かれても、それには応えず
直季「由理の事好きなのに、仲取り持ってどうすんだ。」
   「色々、迷惑掛けてすいませんでした」
肝心な事は何も話さない直季。

敬太はしかたなく国府についてのレポを渡し、説明をする。

直季「じゃ、何?行方不明って事」
直季の顔が険しくなる。
敬太「国府が殺し損ねた女の子、どうしてお前が追いかけ回してんだよ」
これにも直季は何も答えない

 

<実那子の部屋>

輝一郎と実那子が睦まじく夕食を食べている。

直季の出現に少し不安な実那子は引越しを早めたいと提案するが、輝一郎は一緒に暮らすのは式が終わってからにしようと答える。
輝一郎の母親の事や、実那子のグローブを見ながらイブの思い出や小さい頃の事など話しているうちに森で逢った直季を思い出す。
『君のカーブは、横に曲がらないで下に落ちる事を僕は知っています。15年目の今日、僕達の森で、眠れる森で会いましょう。』不安を打ち消すように、輝一郎と良い家庭を築いて行こうと思う実那子。

 

<植物園の事務所>

実那子が注文を受け手配したコロンビア産のニルトニア50鉢がすべて返品になった。
ビルの落成パーティーがあるのは事実だが注文してないと言う。
注文してきたのは若い男の声だった。

結婚に際して昔の男からの嫌がらせじゃないかと疑われ責任を取る様に言われる。

 

<実那子のアパート>

消防車が来ていて、人だかりができている。
ボヤだったようだが火元は実那子の部屋だったらしい。
玄関ポストに発火装置の様な物が投げ込まれていたのだ。
これも、通報してきたのは若い男性の声。
テープを聞かせてもらったが心当りと思われる直季の声(『俺だってば』)とは違う様な気がして、輝一郎には言えなかった。

今度の騒ぎで居辛くなった実那子は新居のマンションに移る事にする。

 

<新居のマンション>

ここでも嫌がらせが待っていた。
カルト宗教の偽装夫婦だと言うビラが住人に配られていたようだ。
『知ってるよ。アンタの事なら何だって。』直季が森で言った言葉が蘇ってくる。
それでも、直季の事を輝一郎には話さない実那子。

 

<直季の仕事場>

やぐらの上でライトをセッティングをしている直季。
そこへ、トランシーバーからの呼びかけ。客が尋ねてきたらしい。
直季 「はい、はい。」「イヤ、すいません、今手が離せないんですよ」
「付きまとわれて困ってる」と言ってる女性だと言う。見てみると、実那子が乗り込んで来ていた。
フッと笑い、わざと実那子にライトの光を向ける。
直季の先輩が「手が離せない」と言うと、実那子は自分が行くと言う。

雨の中、傘を差してやって来る実那子を見ていて「ヒュー」っと、口笛で迎える直季。
直季 「良くここが解ったね」
「突き止めた」と言う実那子に「フーン、やるじゃん」今までの事すべて貴方がしでかした事だと言って怒る実那子。
直季 「エッ?何?なんとなんと何だって?」「ハァーン、色々あったんだ」
実那子「他人事煮みたいに言わないでよ」「電話してきたの、貴方の仲間でしょう!」
   「何が目的なの?どうして私に付きまとうの?」「とにかく降りてきて!」
続けざまにまくしたてる実那子、意に介さない直季。
直季 「ゴメン、今忙しいからさ」
仕事に戻ろうとする。
直季 「よいしょ」
実那子「じゃ、私の方から行きます!」
直季 「ねぇ、危ないよ。ねぇ、ホント危ないって!」「ったく」

もう上がって来ている実那子の為にトランシーバーで連絡を取っている。

直季 「すいません、上手のイントロだけど、ドンキーコンクみたいに上がって来る女
   いるでしょ。足元暗いからちょっとペン(ピン?)当ててください。」「すいませ~ん」
ライトが当って眩しそうな実那子。

その瞬間、忘れていた過去の記憶の一部が蘇り、動けなくなってしまう。

直季 「どうしたんだよ?ひょっとして高所恐怖症?」
   「ったく、しょうがない、ねっ、そこで動くなよ!なっ、なっじっとしてろよな」
身を翻して、動けなくなった実那子を助けに降りていく直季。
実那子の腰に腕を回して、抱きかかえるようにして降りようとする直季。
実那子「きゃぁ、触らないで」
直季 「ちょっとほら、動くな!危ないから。ゆっくりでいいから、一段ずつ。」
   「足、動かせる?ゆっくりでいいから、はい。ほら下見ない。」
   「もうちょっと、もうちょっと、もうちょっと」

光の交差する球状の建物の中、実那子が座っている。
下から上がって来た直季が、束ねた髪を解きながら実那子に飲み物を渡す。
それを受け取りながら、実那子は直季に問い掛ける。

実那子「答えてよ、目的はなんなの?」
直季 「ん?いや、やっぱり愛でしょう」
実那子「何が愛よ!」
直季 「世の中で頼りになるのは俺だけだって、早く解って欲しいからさ」
実那子「どうして、私が………」「変よ、貴方」苛立つ実那子。

そんな実那子にお構い無しに、
直季 「ねえ、ひとつ聴いていい?」
実那子「なに?」
直季 「アパート、引っ越す時さ、大家さんに引越し先教えたりした?」
実那子「教えないわよ」
直季 「じゃ、新しい電話番号、電話帳に載せたりした?」
実那子「載せないわよ!貴方に餌を与える様なものじゃない」
直季 「そっか、………ん」
   「ねっ、いっその事さ、今の所も引っ越した方がいいんじゃない?俺の知らない所とかに」
実那子「言われなくても考えてます」

マイクで仕事の再開が伝えられる。

直季 「ゆっくり話したいんだけど、俺、今日先長いからさ」「別に待ってなくていいよ」
実那子「帰るわよ」
直季 「ん、じゃ気をつけて」
そっけなく言ったものの、振り返って、帰る実那子を見送る直季の表情は何処か切なそう。
見送りながら少年の頃の記憶をたどっていた。

森の中の家。家の中の様子を伺っている直季。
催眠術を掛けられている様子の少女と側に立っている男。
男が直季に気づき目顔で追い払われる。

「すいません、今行きます」イヤホンの呼ぶ声に仕事に戻っていく直季。

 

<実那子の元のアパート>

国府が大家に実那子の引越し先を聞いている。
知らないと言われ、静かに立ち去る国府の後ろ姿。

 

<新居のマンション>

電話で輝一郎に今日の報告をする実那子。
輝一郎は今日も残業らしい。厄介な仕事を抱えているようだ。

赤ワインのグラスを傾ける実那子は、ワインを見ながら先日蘇った記憶を思い返してみる。

『家の中で、足元にまで流れてくる血』
記憶にはないトラック事故。新しい人生に導いてくれた叔父。その後の自分自身……。
細切れのわずかな過去の記憶。その中に、その頃続けざまに届いたあの手紙もあった。
一人、写真を見ながら思いを巡らす内に、ふとある事に気づいた。

故郷の風景の中での家族の写真が一枚もない。どうして?……。

やはり輝一郎との未来だけでいいのだと自分に言い聞かせる実那子。

 

<国府のアパート>

今日も黙って出かけようとする国分に思いあまって妻が問う。
 「女でもいるの?」
国府「女なんかいやしない。女は15年前に死んだ。」「俺が殺した」
そう言い置き、出かける国府。

 

<輝一郎の商社>

輝一郎は、部長の娘の事で部長とはしっくり行っていない。
同僚にも距離を置かれているようだ。

そんな輝一郎を敬太が後を衝ける。

 

<とあるホテルのロビー>

誰かと逢っている輝一郎。
敬太は、その相手の顔に見覚えがあった。

 

<直季のアパート>

直季「そいつヤクザ?」「どう言う関係だ?」
敬太「新聞沙汰にもなった事件に関わりのあったと言われる画商で、商社がバブル期に
   抱え込んだ焦げ付きの美術品の処理に、輝一郎が助けを求めたんじゃないかな」
   「お前の感が当ったな」
険しい顔付きの直季。
敬太「要するに仕事の失敗で海外に飛ばしてやりゃいいんだろ?」
直季「あぁ、うん、まあね」
敬太「エリートの人生、弄ぶって快感だね」
直季「…………」
敬太「実那子ちゃんもついて行くんじゃないのかな?」
直季「…………」(横目でちらっと敬太を見る)

♪~(チャイムの音)

敬太「開いてるよ!」
直季「何?」

敬太がドアを開けると由理が立っていた。
ちらっと見たきりため息をつて露骨に嫌な顔をする直季。

敬太「俺が呼んだの」「もう一度ちゃんと話し合えって」
直季「お前、何考えてんだよ」

引っ越し先の事、『出会わなきゃいけない女』の事、由理が何を聞いても何も答えず背を向けたままの直季。

敬太「教えないんだ、俺にも」

声には出さずに敬太に文句を言ってる直季。

ごみ袋の中の、昔3人で写った写真に気づいて拾い出し「捨てちゃうんだ」と、つぶやく由理。
直季「散らかすなよ」冷たく言い放つ。

必死でその場を取り繕うとする敬太。
昔やった芝居の台詞を言い出す由理。それに合わせてやる敬太。
直季「二人で遊ぶなよ!」「お前、ずっと大道具だろ」「近所迷惑だから静かにしろよ!」

あくまで冷たい直季に泣き出してしまう由理。
どうしていいか解らない敬太。

敬太「直季、お前もそろそろ感じろよ」
直季「ん?」
敬太「人に愛されることの……幸せ」「…………」

 

<植物園の事務室>

輝一郎からの無事を確認する電話。
冷やかす同僚に笑顔で返す実那子。
近頃、伊藤直季は現れない。毅然とした態度が効いたのか。

 

<帰宅途中>

実那子は戸締まりをして、植物園を出る。外はもう暗い。
夜になると、さすがに多少不安になる。
携帯のコールにも少し脅えるが出て見ると輝一郎からだった。
今日はクラブで接待だと言う。お互いを気遣いながら携帯を切る。
「大丈夫」とは言ったものの、行き交う人影にも身構えながら帰路を急ぐ。

カシャッ、シャッ、シャー、カシャッ………

マンションの前まできた時、何か金属音が聞こえてきた。
音のする方に顔を向け、ふと見上げると、誰かが窓枠にブラインドを取り付けている。

実那子 ………『伊藤直季!』凍りついた様に動けないで見つめる実那子。

見つめる実那子に気づいた直季は何気なく言う。
「あっ!お帰り」(腕時計に目をやり)「最近、夜遅いね。ちょっとあの植物園、人使い荒いんじゃないの?」「残業手当て付かないんでしょう?」
やっとの事で声を出す実那子
「何やってんの!そんなと……
言葉をさえぎる様に、ブラインドが音を立てて降りる。
テラスに回った直季が、手すりに手を掛け見下ろしながら、実那子に言う。
「持ってってやろうか?………引越しそば(この部分小声で)」
いかにも楽しんでいて、喜んでるいると言う風に微笑んで見せる。
言葉も出ない実那子

『つきまとう男が、向かいの部屋にやって来た』実那子

直季 「ん?」
口の端に思いを含んだ様な笑みを残したまま実那子を見下ろす直季。
恐怖からか目をそらせずに直季をみつめたままの実那子。

「…………」

 


【レポ後記】

レポと言うのはおこがましい、文字の羅列なんですが、何とか終わりました。(笑)
他の方のレポを参考にして「とにかく始めなくちゃ」とやりだしたんですけど、上手く文章がつながらない。(TARAさん助けて~状態)
TARAさんの「自分なりの物でいいのよ」の励ましに、もう一度最初から、自分の気持ちがすんなり入り込めるレポの書き方は何?と考えて(実は直季の登場場面ばかりリピートして見てたので)「直季の言葉は一言足りとも逃すまい」をテーマ(?)に書き出したらこんなに長くなっちゃいました。(思いっ切り自己中)
読んで頂く方には、はた迷惑なレポになってるかも解りませんが……。
決して、他の出演者の方とか、他の場面がドラマが進んで行く上で、重要ではないとは思ってないんですけど、余り長くなるのも何ですので極力控えめにしました。m(_ _)m
何しろ初めての経験なので「客観的に見てどうなのかな?」って不安で一杯ですが、これが精一杯です。大きな気持ちで読んでやって下さい。

レポ、やらせて頂いたお陰で、頭の中がますます「木村 拓哉」一色(笑)。(どんな色だ?)
これからのドラマ進行もいよいよ楽しみですね。 つたないレポーターELLEでした。


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