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-1度目はストーリー、2度目はセリフや表情を。素敵なドラマは何度も楽しめる。-


このページは、No.1133 哉子がお伝えします。


★ 第5話 「死のくちづけ」 

★☆ ストーリー

由紀に刺された右上腕部を抑えながら崩れ落ちるように倒れた完三に、駆け寄り叫ぶ優子。
由紀は、慌ててその場を走り去って行った。
救急車を呼ぼうとして立ち上がろうとする優子の腕をつかみ、完三は「誰にも言うな」と言いながら、血に染まった手で転がるナイフを拾いポケットに押し込んだ。
優子は完三の言葉にうなずいた後、痛みに歪む兄の顔を見て泣きじゃくった。
かたわらに放り出され壊れた傘よりも、完三と優子は雨に濡れていた…。

涼が優子から受け取った手紙は、部屋から出ることさえ許されない美羽の悲しい声を届けた。
『あなたに会えない悲しい日が続きます。…いえ、悲しいというよりも、苦しいのです。
 こうしていても涙があふれてきて、止まりません。
 私はもう、何もかも捨てる覚悟です。家も、親も…捨てる覚悟です。
 今の私には、もう、あなたしか…』
小鳥を手に乗せ朝日にかざしたり、部屋を区切る格子に乗せたり…小鳥とのひとときを過ごしてから1歩踏み出した涼の足が、床の手紙に触れる。
涼は、手紙を拾い上げると同時にクシャッと手の中でつぶして、無造作に部屋の中へ投げ入れ、部屋を出て行った。

相変わらず無愛想にソフトクリームを作り客に渡す由紀は、客が作った列の後方に、刺された腕を三角巾で吊った完三を見つけた。
休憩で外に出た由紀は、完三が逮捕しに来たのだと思い、両手を揃えて完三の前に出したが、完三は、手錠を出すわけでもなく、ベンチに座るように由紀に声をかけた。
素直になれずベンチの傍にある木にもたれかかった由紀に、かばった理由を聞かれた完三は、将来のある19才の女の子だから、と答えたが、正直それは後から出てきた理由で、本当のところ気がついたらかばっていた、と言う。
妹とダブったのかも…とも言って優子のことを話し始めた完三は、続けて、狙ったのは優子かと由紀に問う。
そして、おもむろに土下座し「もう妹に何もしないと約束してくれ」と頭を下げた。
そんな完三に良き兄の姿を見て、医者の家に生まれ1人落ちこぼれて邪魔者扱いされた由紀は、自分の孤独を語った。
完三は、静かに聞き入り、何かあったら自分のところへ話に来たらいい、と優しく笑った。
すると由紀は、もう優子に何もしないという約束を受け入れて、完三と指切りをした。

涼は、部屋の冷蔵庫を開けた。
中から取り出したのは、小さくきちんと折りたたまれた紙。
涼は、その色あせた紙の温かみを取り戻すかのように、手の中に包んで息を吹きかけたり、頬につけたりした。

『Reve』に優子が訪れた。涼が『たぬき』のおばさんを通じて呼び出したのだった。
涼の用件は、美羽に「家捨てるとか考えるな」と伝えてくれ、というものだった。
美羽の熱い想いに嘲笑する涼を見て、いきり立つ優子。
話せば話すほど、顔を合わすことなく冷ややかな言葉を投げつける涼に傷つけられながらも、優子は、自分からは愛さず心を開かない涼を本当に愛してくれる人はいない、と言い放ち、さらには美羽への伝言も涼にはね返して、『Reve』を出て行った。

美羽は、父・建造とともに、柏木所有の射撃場でクレー射撃に興じていた。
電話の応対で後方の管理事務所に下がった柏木を見て、引き金に手をかけ銃口を向けた美羽だったが、建造の呼ぶ声で、銃口をおろした。
そして、涼との恋の熱病から冷めたような口ぶりで、建造に笑顔を向け、射撃を再開した。

由紀の部屋で皿が落下した。
涼からもらった皿を割ってしまったと残念がる由紀の声に振り向くこともなく、ソファに腰を下ろしてTVに見入る涼。
一瞬寂しそうな表情を浮かべた由紀は、涼の前に座り、優子を刺したことを告白する。
自分といる時とはあまりにも違う優しい涼を見た嫉妬から行動を起こして、でも失敗して完三に傷を負わせてしまったこと、完三が内緒にしてくれると言ったこと、全てを告白した。
「もうしないよ。涼が由紀のそばを離れなければ」― 由紀の言おうとした言葉は最後まで発せられることなく途切れた。
由紀を見つめながら黙って聞いていた涼が「帰る」と言って立ち上がってしまったから。
そして由紀は独りになった…。

帰り道を歩く涼に距離をおいて、黒塗りの車が涼の後を追う。
涼はそれに気付くが、別段気にするでもなく部屋へと続く階段を昇っていった。

黒塗りの車の中。
運転手が涼の身辺調査を請け負ったようで、助手席の人間に、涼を取り巻く複数の女性との関係、それと相反して部屋へは誰も入れていないという調査結果を報告した。
運転手の労をねぎらい、隣に駐車してある自分の車に乗り込んだ助手席の人間―サイドミラーに映るその顔は、柏木だった。

深夜のコンビニに入った優子は、由紀を見つける。
由紀は優子を見て逃げようとするが、追いかけて捕まえた由紀を、優子は『たぬき』に誘った。
雨の日のことを素直に謝る由紀に、理由を尋ねる優子。
涼と優子があまりにも楽しそうだったから、と理由を話す由紀は、もうしないという約束を完三と交わしたことも話した。
それで納得した優子に、今度は由紀が、涼と何を話したのか尋ねてきた。
優子が挙げるラーメン屋での会話の中で、優子の火傷について表情を変え聞き返した由紀は、その跡を見せてもらった。
携帯電話が鳴り、優子が席をはずす。
その間1人になった由紀の脳裏には、優子といる時の涼の顔や、優子そして涼の火傷の跡が浮かんでは消える。
『たぬき』のおばさんの叫ぶ声に優子が気付き、店の中へ戻ると、テーブルの上で煮たっていた鍋が床に叩きつけられたように割れていて、キムチチゲの赤みを残す右腕を左手でおさえる由紀がいた。

病院に駆けつける完三と杉田。
そこへ由紀を担当した医師が現れ、火傷はたいしたことはないが、精神的に興奮していると困った顔を見せた。
医師に案内され向かった診察室では、火傷の跡を残したかったと叫ぶ由紀を、数人の看護士が抑えつけていた。
叫び続ける由紀の前に立った完三が、力強く由紀を抱き寄せ、優しくも力強い言葉で落ち着かせようとした。
その姿を見て、手を取った杉田に導かれ、優子は、完三と由紀を見つめながら診察室を出た。

涼は、部屋のソファに座り、色あせた紙を広げていた。
昔の思い出の香りに触れようとしたのか、少しの間、2つ折りにした紙を鼻元に近づけた。
何かを思う涼の目は、何処というでもなく、はるか遠くの一点を見つめているようだった。

完三は、人気のない夜の病院で由紀を慰めていた。
完三の優しい口調に穏やかな表情を見せ始めた由紀だったが、涼を呼ぶかという完三の問いには、首を振った。
そして、涼には自分の他にも女がいて、でも涼にとって1番じゃなくても好きでいてもらえたらそれでいい、そう言うと涼は優しくなった、と話した。
それを聞いて、完三は優しく諭す。
女の子は誰かの1番になって愛されなきゃならん、綺麗な手に火傷なんか作ったりせず1番になりや…と。
完三の言葉に、由紀は、涙をこらえることが出来なかった。

涼のもとへ由紀からの電話が入り、自分のことが1番好きか、と尋ねてきた。
仕事中で少し怒った口調で応対していた涼は、その姿勢を崩さず電話を切ろうとする。
すると由紀は、もうみんな喋っちゃうから、と脅すような言葉を口にして、涼に別れを告げた。
受話器を置いた涼は、頭の中で何か考えを巡らせているようだった。

日の出署の給湯室でぶっかけうどんを作っていた完三に、来客ありと杉田が伝えに来た。
行ってみると、婦人警官と談笑する涼が、完三を見つけて手を振った。
涼の前まで歩いて行き、用件を尋ねる完三だったが、涼は、特に用があるわけでなく、警察に興味があったからと笑う。
じゃ、と帰ろうとする涼を引きとめようとする完三に、腕の傷のことを持ち出して、由紀が刺したことを詫びる涼。
詫びながらも由紀を逮捕しないのは何故か、と尋ねた涼に、完三は、腕のことはたいしたことはないから、それよりも、由紀のことをもっと考えてやれ、と、そして、真面目に生きたらどうだ、と重ねて忠告する。
涼は言葉なくうなずき了解したものと思いきや、完三に対して、つまんない大人と一緒じゃん、と落胆の色をあらわにして、日の出署を出て行った。
完三が刑事課に戻ると、杉田から、不在中に女性から電話があり名乗らずに切ってしまったと聞き、ため息をもらした。

日下とのデートの後、コンビニに寄った優子は、偶然涼と会う。
美羽には連絡も取ってない、手紙も書いてない様子で、由紀に関しては好きかどうかもはっきり答えず、火傷を負ったことも知らない涼にたまりかねて、優子は尋ねる。「本当は誰が好きなの?」
涼はまっすぐ優子を指差した。「あんた。…でもいいけど。」ニッと口の端を上げる涼。
口惜しさだけでなく、悲しさまじりの表情を見せる優子は、それでも負けん気の強い口調で涼に突っかかった後レジへ向かう。
その後、背を向けた優子の珍しいミニスカート姿を涼が誉めたのに、優子は、涼に対して睨むような目で向き直り、無言のままコンビニを出て、『たぬき』へ行った。
ビールを前に思いにふける優子へ、おばさんが声をかけた。何かを見つけておばさんは外に出たようだった。

部屋へ戻った涼は、小鳥がいなくなったことに気付いて外に出る。
空を見上げたり、地上に目を落としたりするが、小鳥の姿が見当たらず、肩を落として部屋へ戻ろうとした時、優子がやって来た。
『たぬき』に舞い戻った小鳥を優子が連れて来たのだった。
小鳥が逃げないように鳥かごに入れるため、涼の返事もきかぬまま、優子は涼の部屋へ向かった。

その頃完三は、刑事課のデスクで、刺された右腕をかばって左手を使ってうどんをすすっていた。

鳥かごに戻った小鳥を見る涼と優子。
鳥かごから離れて、今度は部屋を見渡す優子に、人が来ないから殺風景だと、涼は話した。

うどんを食べ終わった完三は、給湯室で丼に落ちる水を見つめながら、煙草の煙に目を細めた。

優子は、涼に、広い部屋で1人で暮らす心地を尋ねると、涼は鳥かごの小鳥に例えた。
閉ざされた空間に自分を押し込め、そして鍵をかけ、一切の感情を表に出さないことを良しとする涼がそこにいた。
鳥かごの中で飛ぶことのない涼の心―飛び方を忘れたのかと尋ねる優子に、涼は、まだ飛びたいのかも…と心のカケラをこぼすようにつぶやいた。
それを聞いて、優子は、飛べない鳥の方が空をはばたくことに憧れるように、心を開かない人ほど愛されたがっていると語りかけ、帰ろうとした。
その背中に、完三が自分のことを殺人犯だと疑っていると吐き出す涼。
帰りかけた優子は、部屋の方へ向き直り、涼の前に歩み寄った。
そして、自分の目で見たこと、自分が感じたことしか信じないから、と言って、涼との距離を縮め、涼の肩に手を乗せる。
その手が涼の顔へ伝おうとした時、優子の腕を涼がつかんだ。
「じゃ、教えてよ。…あんたから見た俺って何?」
優子は、涼を見つめたまま、涼の唇にそっと手を乗せ、そして唇を乗せた。
「…答えになってねぇじゃん」
今度は涼の方から優子を引き寄せて、唇を合わせた。

完三は、最後にくゆらせた紫煙を見つめながら帰り支度を始めた。
刑事課のドアを出て帰りかけたが、ドアのところに戻って来た。
完三が見つめる廊下の先には、由紀がいた。
そして、由紀は、やっぱり言わなきゃならないんじゃないかと思ったホントのことを、完三に聞いてほしいと言う。

その頃、大型の換気扇が回り続ける、広い部屋の中で、涼と優子は求めるままに唇を重ねていることも知らずに、完三は、由紀へ向かって歩みを進めていた…。
 

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