捕鯨と反捕鯨( 続き )
[ 7−2 : 二酸化炭素排出制限の代わりに、反捕鯨で穴埋め ] アメリカが捕鯨に反対する理由は他にもありますが、そこには地球温暖化の原因となる 二酸化炭素 ( CO 2 ) 排出制限の問題が絡んでいるのです。自動車産業をはじめ石油燃料を大食いする産業こそがアメリカ経済発展の根源であり、これを制限されることは産業界にとって極めて重大な影響を受けることが予想されます。
そのために、平成 9年 ( 1997年 ) に京都で開かれた、第 3 回気候変動枠組条約締約国会議 ( 地球温暖化防止京都会議 )で議決した地球温暖化防止を目指す国際条約、つまり 「 京都議定書 」 を クリントン政権は会議では調印しながら、国内では批准せず、さらに ブッシュ政権は平成13年 ( 2001年 ) に 京都議定書の枠組みから遂に 離脱 してしまいました。 地球温暖化防止の環境問題に極めて消極的な態度を取りながら、その反面で 反捕鯨に積極的姿勢を誇示する ことにより、CO 2削減に消極的な アメリカの姿勢に対する 国際社会の目や非難を、逸らそう としているのです。
I W C の議決が多数決によることを欧米の反捕鯨国がなりふりかまわず悪用し、捕鯨に関する学問的知識、経験、能力もない国、たとえば インド洋に浮かぶ人口僅か 84,500人の、 セイシェル共和国 や、カリブ海にあり 我々が名前も聞いたこともない アンティグア ・ バブーダ のような小国も I W C に加盟し、イギリスやアメリカ 国籍を持つ反捕鯨派の男が その国の代表として堂々と会議に出席し、捕鯨に反対票を投じました。 このような例は他にもあり 日本における敗戦後の 平和教育 、国連中心主義により、国連の役割を 公正中立、正義の味方 の如く過大評価し、信頼を寄せる実態とは大きく異なり 、票決に際しては カネ で票が動く のは、決して珍しいことではないといわれています。 その後反捕鯨国による多数派工作が成功し、1982年には 商業捕鯨の一時停止 ( モラトリアム ) が決定され現在まで続いています。 I W C の元 アメリカ ・ コミッショナーを務めた アーロンが、平成13年 ( 2001年 )5月に カリブ海でおこなわれた シンポジウムで語ったところによれば、
反捕鯨を主張する アメリカの N G O および反捕鯨国が、I W C へ新規加入する国々に対して 加盟に必要な 資金 ( 約 400 万円 ) を裏で肩代わりして支払い、委員会における発言内容も用意して、自分達の コントロール下に置いていた。と述べましたが、それだけにとどまらず、前述したような弱小国代表の国際会議への出席旅費はもちろんのこと、1日当たり 300 ドル の日当も反捕鯨団体が負担していました。国連やその付属機関は、主義主張や エゴをむき出しにした国の方針、国益などがからむ争いの舞台であり、 権謀術数 ( けんぼうじゅっすう、人をあざむく はかりごと )が渦巻く場であることを お人好し の日本人は理解する必要があります。
クジラ 属の適当な保存を図り、捕鯨産業の秩序ある発展を可能にするとあり、捕鯨を禁止する条項などまったくなく、それどころか クジラが 再生産可能 な生物資源であり 、それを正しく管理することにより、 捕鯨産業を維持し発展させることを 条約の目的 とすると明記されています。 ところで ファンダメンタリズム ( Fundamentalism ) 根本主義という言葉がありますが、日本では 原理主義 と訳されています。本来の意味は天地創造、処女懐胎、キリストの奇跡、復活などの、聖書に記された内容の 無謬性 ( むびゅうせい、誤りがないこと )を堅く信じて、それを主張する一方で、 進化論や地動説 などを否定する キリスト教の一派の考え方に由来するものです。 ( 8−1、反捕鯨教の狂信者による布教 ) 捕鯨に関しても 自分たちが独自に決めた考え方 を固執し、それ以外を絶対に認めない連中がいるのです。 例えば オーストラリア では 毎年 300 万頭もの の カンガルー を害獣として殺すだけでなく、カネ を稼ぐ爲にその肉を世界 55 ヶ国に輸出しながら 、 クジラを殺すことは 1 頭たりとも絶対に認めない とする考え方を、元 グリーンピース理事の ギャレット現 環境大臣自身も主張しています。 しかし W W F ( 世界自然保護基金 ) オーストラリア支部の1999 年の年次報告書によれば、
アングロ ・ サクソンが オーストラリアを植民地化して以来短期間に、 7 種の カンガルーが絶滅し、少なくとも 12 種類が今現在深刻な状態にある。我々はすでに哺乳類の 絶滅競争 で勝利した。過去 200年間に絶滅した哺乳類の半分は オーストラリアにおけるものであり、・・・と記されていましたが、この 二重基準 ( ダブルスタンダード ) についても 反捕鯨教を 狂信する連中は、少しも矛盾を感じていないのです。 反捕鯨教を熱心に布教した結果どうなったかといえば、 I W C 国際捕鯨委員会 総会は もはや下部機関である 科学小委員会 ( S C ) が収集した、 クジラに関する 科学的 データ に基づく資源保護や有効利用の方法を討議する場ではなくなり、 反捕鯨を宗教、国是とする狂信派の 国や N G O 団体 などとの、政治的駆引 ( かけひ ) き、闘争の場となってしまいました。
[ 9 : 調査捕鯨の結果、クジラの数は減少どころか 増加 が判明 ]前述した商業捕鯨の モラトリアム( 一時停止 )には、但し書きとして1990 年までに クジラ資源を最良の科学的助言に基づいて再評価し、商業捕鯨再開の是非を決める。と書かれていましたが、その期限を大幅に過ぎても何も決められていません。日本では条約の目的に基づき昭和 53 年 ( 1978 年 ) から南氷洋の調査捕鯨実施計画書を I W C に提出し、クジラ資源の調査を実施し、データの収集を継続しています。反捕鯨派による事実を無視し歪曲した主張によれば、クジラが絶滅の危機にさらしているとしていますが、事実は下表の通りで、資源の枯渇どころか ミンククジラについては南氷洋に 76 万頭 もいて、 環境における収容量 が満杯に近い状況です。 しかも年間の増殖率は 4 パーセント なので、頭数にすると単純計算でも年間に 3 万 4 百頭 増えることになりますが、にもかかわらず捕鯨は後述する調査捕鯨を除き、 環境保護派からは 絶滅の危機 、動物愛護派からは 可愛そう 、倫理派からは 人としての モラルに反する という理由で、1 頭たりとも殺させないとして、一時休止させられているのです。まずは下記の表をご覧下さい。
I W C 国際捕鯨委員会による、推定クジラ資源量( 頭数 )
さらに付け加えると、調査簿鯨によって捕獲された クジラは できる限り処理し、その副産物を加工 ( つまり食用などに利用 ) する義務を課しています。調査によって捕獲した クジラを加工( 食用などに利用 ) せずに ( 海中に投棄すること ) を禁止するとともに、その副産物 ( つまり肉類 ) の売却代金を調査の経費に当てることを許しているのです。
余談になりますが日本では調査捕鯨船の乗組員が正当な方法で入手し、宅配便で自宅へ送った クジラ肉を西濃運輸の倉庫に不法侵入して盗み出し、盗品を前にして、 鬼の首でも取ったように得意顔でテレビの前で記者会見をした、 グリーンピース ・ ジャパンの 幹部 2 名 が窃盗と不法侵入で逮捕、起訴 されましたが、自分たちの目的のためには違法行為も辞さない、グリーンピースの無法体質の現れでした。 宅急便で クジラ肉を送った乗組員は もちろん不起訴でしたが、これによって日本の グリーンピースは支持者の信頼と寄付金を急激に失い、 組織は臨死状態になりました 。写真は刑法に違反した窃盗犯人達の逮捕を、不当だと主張する、 愚かな G . P. ジャパンの代表者です。 平成 22 年 9 月 6 日に窃盗犯人である グリーンピース ・ ジャパンの佐藤潤一 ( 33 才、東京都八王子市 )、鈴木徹 ( 43 才、横浜市 ) に対して、「 他人の権利を侵害することは、法と社会が許容しない 」 として、青森地裁は 懲役 1 年、執行猶予 3 年 を言い渡しました。 日本による調査捕鯨の骨子は
[ 10 : 捕鯨は 倫理 に反するのか ? ]前述した海洋小説 「 白鯨 」 の中で、主人公の イッシュメルは、以下のように述べていました。
とありましたが、ここで問題なのは 残酷とは何を基準にして 誰が 決めるのか ということです。
毎年 1 千万頭もの牛や羊を食用に殺して皮を剥ぎ、 ガチョウの 口に器具を入れて、強制的に給餌して肝臓を肥大させ、 フランス料理の フォアグラ ( Foie gras 、肥大した肝臓の意味 ) を食べるのが残酷ではなく、捕鯨だけがなぜ残酷で 倫理に反する と言うのでしょうか?。
オーストラリアでは 年間数 千匹もの ディンゴ ( Dingo 、豪州原産の野犬 )を毒 エサや銃で殺し、前述したように 毎年 300 万頭 もの カンガルーを狩猟により殺しても、それを残酷とみなす オーストラリア人は誰もいないのです。 殺された母親 カンガルーの腹袋から引き出した子供の殺し方について オーストラリア政府が推奨する方法とは、 車の バンパーに叩き付けて殺すか、足で踏み殺す 方法です。
日本では生き物を殺すことは仏教の教えに背く 殺生( せっしょう ) とされますが、昔から食べるためにやむなく クジラを殺したものの、犠牲となった クジラに感謝して日本各地に 供養塔 が建立されています。これに対して ディンゴや カンガルーは、害獣や増えすぎた邪魔者として、ただ殺すのですが、カンガルーの赤ん坊を踏み殺すことが残酷ではなくて、クジラを殺すことだけがなぜ残酷で モラルに反するというのか、私には理解できません。下記にある 10 分 35 秒の動画を御覧下さい。
クジラの乱獲から資源を守り生態系を保護するというのであれば、誰もが納得できますが、反捕鯨過激派の国や団体の主張は、そうではありません。
沿岸捕鯨であろうが、南氷洋捕鯨であろうが、科学的調査により クジラの数が十分に回復しようがしまいが、そんなことは一切関係ない。クジラを殺すこと自体が 倫理に反する許し難い行為 であり、 絶対に認められない 。とするものですが、1970 年代からはそれまでの、 クジラに関する 資源 ( 頭数 ) の問題 が、いつの間にか 倫理問題 へと スリ替えられてしまいました。そこには世界の考え方の基準( Global Standard )は 俺たち白人種 が決めるのだ。有色人種がこれに逆らうことは絶対に許さないとする 傲慢さ や、彼等の心に深く刻み込まれた 人種差別意識 を痛切に感じました。 彼等の国が かつては日本以上に クジラを殺してきたにもかかわらずーーーです。彼等の人種差別に基づく独善的態度をみると、 アジア、アフリカに対してそれまで 侵略や、植民地支配を続けてきた欧米諸国 が、日本を侵略国と決めつけた 75 年前の ( リットン調査団 )や、63 年前の東京裁判 のことを思い出させます。 平成 12 年のこと、ニュージーランドの ヘレン ・ クラーク首相 ( 女 ) が、事実に反する情報を基に、日本が絶滅に瀕した ミンククジラを調査捕鯨で捕獲していると日本を強く非難しました。そこで当時の玉沢農水大臣が事実関係の誤りを I W C の データを添えて手紙を送ったところ、公式の場で彼女が何と言ったと思いますか?。 ( 首相の自分より ) 格下である 日本の 大臣からの反論に答えるつもりはない。 とまで言いましたが、これは外交上極めて無礼な態度であり、 白人種 ( アングロ ・ サクソン ) に共通する有色人種に対する 蔑視の現れ でした 。ところで ニュージーランドは大阪府とほぼ同じ人口わずか 427 万 ( 2008 年 ) で、観光以外にみるべき産業が無く、羊の畜産や酪農製品の輸出に頼る農業国です。 人口でいえば大阪府の橋下知事並みのくせに、発言の誤りを訂正するどころか、大臣の格の上下に論点を変更する無礼な女に対しては、GDP 世界 3 位の日本と 50 位の国との 格の違い を指摘すべきだと思います。
[ 11 : 反捕鯨を金儲けの道具にする連中 ]日本の調査捕鯨船、目視調査船に対する違法な激しい抗議行動をする環境保護団体に、グリーンピース や シー ・ シェパード ( SS ) がありますが、目的の為には手段を選ばずに、妨害行為を繰り返す彼等には決まった行動 パターンがみられます。
それは 宣伝用 ビデオの撮影屋 を必ず伴っていることで、妨害行動中に必ず彼等の旗や広告などを目立つように、しかもそれを 抗議する相手に対して向けるのではなく 宣伝用 ビデオを撮る自分達の仲間に向けて掲げることです。その様子を時には ヘリコプターを飛ばして ビデオ撮影し、それを テレビ放映させることにより世界の耳目を集め、1 回に 100 万本もの ビデオカセットを作って マスコミを初め 一般にも バラまき、彼等の寄付金集めの道具にしています。 彼等の財源は寄付などにより賄われているそうですが、大口寄付である アメリカ産業界の意向を受けて、前述の 二酸化炭素 ( CO 2 ) 排出問題に対する アメリカ政府の消極的態度には文句も言わず、ブッシュの京都議定書の枠組みからの離脱にも抗議行動をしませんでした。 最盛期には日本円に換算して 年間 200 億円 もの寄付金を集めたといわれますが、派手な抗議行動をすればするほど寄付金などの収入が増えるので、カネ集めのために世間の耳目を引く抗議行動をさらに エスカレートさせる結果になります。しかも団体の会計は 一切公表されず、一部の人間は 非常に高額な収入を得ている という うわさもあります。彼等にとって反捕鯨とは、今後も長く続けることができる ひじょうに旨味のある職業なのです。 調査捕鯨船による捕鯨は前述のように I W C ( 国際捕鯨委員会 ) によって国際的に正式に認められた、 合法的な調査活動 であることを、しっかりと認識のうえ、反捕鯨団体による妨害行動を動画でご覧下さい。
[ 11:その他の問題 ]私が子供の頃に教科書で習った知識によれば、 クジラの食料は オキアミなどの動物性 プランクトンでした。ところが調査捕鯨の結果 クジラの胃袋から出てきたのは、オキアミだけでなく、人間が食べるのと同じ大量の魚 スケトウダラ、イワシ、サンマ、サバ などでした。日本鯨類研究所の レポートによると、各海域で クジラが年間に食べる魚類の量とは、
[ クジラ類の食物年間摂取量:単位は トン、万未満の数字は省略 ]
[ 12 : 結論 ]捕鯨問題について調べれば調べるほど、反捕鯨国や反捕鯨 NGO の対応には納得できない点がありました。クジラを捕って食べる国も食べずに観賞の対象とする国も、それぞれの文化があり、考え方が異なるのも当然のことです。世界に 13 億人いる イスラム教徒にとって ブタ は コーランの第 2 章 ( 雌牛章 )の 173 節で、食べることを禁じられていますが、だからといって ブタを食べる国の人々に対して、自分達の考えを強制することはありません。ひるがえって反捕鯨教の教徒たちは、自分たちの考えだけが 正しい世界の基準 であり、それ以外は 基準に反する悪 とみなしています。 I W C が認めた鯨に関する科学的 データさえも否定して捕鯨反対を主張し、目的のためには違法な行動をとるという、 かたくなな態度をとり続けています。 さらに同じ捕鯨国でありながら 白人種である ノルウェーや アイスランドの捕鯨 については黙認し、有色人種である日本人に対してのみ 人種差別、蔑視 に基づく違法な捕鯨反対運動 をおこない、反捕鯨国の政府首脳や メディアもそれを 煽り立てています。 I W C の今後の進むべき方向としては、互いに伝統論、食文化論、感情論をひとまず捨てて、あくまでも科学的根拠に基づく データを基に、地球温暖化に伴う環境問題や、世界的規模での 食糧不足の問題 も視野に入れて、クジラ資源の有効利用という観点から議論すべきものと考えます。反対派が主張する クジラを殺すことは 倫理 、つまり人としての守るべき道、モラルに反する。という件に関しては、 I W C に 倫理小委員会 でも作り( 笑い )、哲学の専門家も交えて 倫理 並びに、( 反捕鯨国の ) 偽善 について議論すべきであると考えますが、どうでっしゃろか?。 下記にも参考になる動画がありますが、クジラを守るために軍艦を派遣しろと述べた ギャレットは、 オーストラリアの現職の環境大臣です。「 御覧いただきありがとうございます 」 の表示のあとも、引き続き 「 The end 」 の表示が出るまでご覧下さい。
|