「なぁ、ちょっともう止めようぜ。埃すげぇし、汚ねぇから!」
「哲平がね、仕事にかまけて掃除さぼってんから、こんななっちゃうんでしょ?」
「いーじゃないか別に。住みやすい環境なんだから。」
こんな会話の中、哲平と理子は哲平の部屋の大掃除をしていた。
《キティちゃんのマスクの哲平、かわゆーい(^^)》
ベッドを動かすと、そこにはエロ本の山・・・《おいおい(^^;)》
理子は、「私という女がありながら・・」と、エロ本を容赦なく捨て、『俺はもう理子以外の女には欲情しません』と、哲平に誓いをさせた。
ベッドを元に戻そうとしたとき、もう一冊エロ本が・・
「スケベ!」
「いーじゃんか、もー!」
ベッドの上に倒れ込み、ふざけあう二人だった。★
《まさか・・でも何もなし。びっくりさせんじゃねーよ(*_*;)》荘一郎とさなえは、結婚式の衣装合わせをしていた。
「もし、さなえの気が進まないんだったら、結婚もう少し延ばしてもいいんだよ。」うかない顔のさなえに荘一郎は言った。
「私はもう気にしてないから。終わったことじゃない。もう忘れて先に進みたいの。」さなえはこう答え、哲平の言葉を思い出していた。
(俺さ、せっかくあきらめたんだから、幸せになってもらわないと困るでしょ。将来お姉さんって呼ばなくちゃいけないんだからさ。やっぱお姉さんには幸せになってもらいたいもんね。)
その頃、哲平はコンペの打ち合わせをしていた。
前回、コンペに失敗している哲平は、今度こそは意気込みをみせるが、相変わらず強気な態度の哲平は、皆の反感を買ってしまう。
仕事を終え、ふざけあいながら、哲平の家へと向かう哲平と理子。
家の前では、さなえが哲平の帰りを待っていた。
「あっ、ねぇ、忘れてたけど、私今日エリカとカラオケ行く約束だったの。」理子は、気をきかせその場を去った。
さなえは、実家から送ってきたお茶を哲平に渡し、帰ろうとするが、哲平は、引き止め自分の部屋に通す。
「あ、そう、どうなの?兄貴と最近。」
「結婚式の衣装とか見に行って、普通にしてる。荘一郎さんね、すごくよくしてくれるし、あんまりいつまでもくよくよ考えても仕方ないもんね。」
「なぁ、あんまり無理すんなよ。気ぃ遣い過ぎだよ兄貴に。普通浮気なんかされたらさ、そう簡単に許せることじゃないじゃん。もっと正直になったほうがいいよ。」
「正直に?でも私が正直になったら、哲ちゃん困るんじゃないかな?」
「なんで?」
「私、哲ちゃんに愚痴聞いてもらいたくて、毎日でもここに来ちゃうかもしんない。」
「愚痴だったら、俺いくらでも聞くよ。」
「だめ!あんまり・・・あんまり甘い顔するとつけあがるから。」明るくふるまうさなえだが、どこか様子がおかしい。
一方、理子は、エリカと食事をしていた。
哲平とさなえを二人で話せるよう仕向けた理子に、感心するエリカ。
「今までの男はさ、私のわがままにしょうがなくてあわせてやってるって感じだったの。哲平は違うよ!言いたいこと言ってぶつかってくる。でもそれが気持ちいい。私ね、男の人とこんなにちゃんと向き合えたの初めての気がするんだ。」
現在の哲平との関係が、よほど心地よいのだろう。
理子は、眼を輝かせ嬉しそうに言った。
翌朝、出勤時の哲平と理子。
「おはよー!あれ?哲平眼が赤いよ。さなえちゃんと熱い夜を過ごしたんですか?」
「お前さー、人が会議の準備で徹夜してバテバテなのに、くっだらない冗談言うな・・・」朝から元気な二人だ。
《おさる・次郎の”反省”ポーズ、”待て!”とペットのように扱われる理子。笑える(^o^)》
職場につくやいなや、哲平は部長に呼ばれる。
哲平のワンマンについていけないと、クリエイティブの二人が担当を変えて欲しいと申し出たようだ。
哲平は、プレゼンの趣旨が気にそぐわないのでなければ、最後まで力を合わせて頑張ろうと説得する。
その頃、さなえは、荘一郎からの電話を受けていた。
荘一郎の先輩の計らいで、週末、婚約パーティーがあるというのだ。
一緒に夕食をとる約束をしたさなえは、荘一郎の職場へと足を向ける。そこで、偶然、荘一郎が自分の保身のために白石奈美を捨てたという事実を知り、ショックのあまり、逃げ出してしまう。
部屋に戻る哲平。
ドアの鍵が開いている。先に来た理子が、鍵をかけ忘れたのであろう。しかし、そんな部屋で哲平を出迎えたのは、理子ではなく、ベッドに横たわるエリカであった。
驚きたじろぐ哲平に、「”センジュカイケン”見せてくれる約束したでしょ?」
と、肩を露出したお色気いっぱいのエリカ。
哲平は、まるで状況を把握できないままである。
そんな哲平に、エリカはおかまいなしに続ける。
「ここで、エリカちゃんからの問題です。この布団の下は・・1番、哲平君のパジャマ。2番、ブラとパンティーだけ。3番、モンローばりのオールヌード。さあ、どれでしょう?」
《順に想像を膨らまし、鼻の下を伸ばすスケベ顔の哲平。素の自分に戻ってないかい?》★
「難しいんでぇ、ちょっと確かめてもいいですか?」嬉しそうに、布団の中に頭を突っ込む哲平。
そこへ背後から近寄り、強烈な尻蹴りをお見舞いする理子。
《おケツ割れちゃうって(^^;)》
『他の女には欲情しない』という誓いを破ったと、哲平を責め立てる。全ては、哲平の貞操の堅さを見るための、茶番劇だったのだ。
「魔除けのプリクラ!今度誓い破ったら、アソコに貼ってやるからね!」
《理子ちゃん、大胆・・ (*^_^*;)》
理子は、二人のプリクラを哲平のおでこにパンッ!と貼り付けた。
「携帯電話に貼っとくと、一番効果あるよ。」エリカは理子にアドバイスする。
そこへ、荘一郎が訪れた。さなえを探しているようだ。
「また喧嘩したの?いいかげんそういうことやめろよ。今あいつ兄貴にちゃんと受け止めて欲しい時期なんだからさ。あいつが不安になること言うなよ、もう。」
「お前に俺達の何が解るっていうんだ。」
「わかるから言ってんだろ。だいたい兄貴が他の女に気・・・・・。」哲平は、つい口をすべらせてしまった。
「お前、何で知ってんだ?あいつが話したのか?さなえはお前にそんなことまで話すのか・・・」荘一郎は、そう言って立ち去った。
ベッドの中の哲平と理子。
哲平は、背中を向けたままでいる。
「哲平、何か話して。何でもいいから、思ってること。」
「兄貴のことでもいいの?」
「いいよ。荘ちゃんのこと考えてると思ってた。」
「俺さ、兄貴が泣いてんの見たことないんだよ。ガキの頃からいやっていうほど喧嘩したけど、いつもやられて泣いてんの俺だったから。いつか兄貴泣かしてやりてぇなぁとか思ってたんだけどさ。でも、いつだったかな?小学校2年の時かな。うちのおふくろが、事故に遭って病院運ばれたのね。その日の夜に、二段ベッドの上で、兄貴が、声を殺して泣いてんだよ。泣かなかったんじゃないんだよな、あれ。周りに『あの子はいい子ね』とか『しっかりして強いわね』とか思われてたから、泣けなかったんだ、きっと。俺、小2のくせして、それはそれで大変だって思ってた。・・・なんでこんなこと、今日思い出すんだろうな。」
理子は、優しく哲平を抱きしめた。まるで、我が子を慈しむ母親のように・・・
翌日、哲平が得意先から会社に戻ると、そこにはさなえの姿があった。哲平と話がしたいというさなえ。
外で話をしようと、出て行く二人の姿を理子は偶然見てしまう。哲平とさなえは、近くの神社に足を運んだ。
「哲ちゃんが、コンペで勝てますように。」
「水原が幸せになれますように。」神前で手を合わせる二人。
昔を懐かしんだりと、なかなか話の核心に触れようとしないさなえに、
「何か話したいことあんじゃないの?」哲平は、こう切り出してみた。
「私ね、今度のことでなんだか自信なくなっちゃったの。今まで荘一郎さんの何見てきたんだろうって。荘一郎さんがね、他の女の人に走ったから、それ許せないって、そういうんじゃないの。もしかしたら変わったのは荘一郎さんじゃなくて・・・私のほうかもしれない。」思い詰めるように、さなえは言った。
その頃、会社では、哲平への連絡が次々と入っていた。
理子は「打ち合わせが延びてて少し遅くなると連絡があった」とフォローするが、なかなか戻ってこない哲平のことが気になる。
哲平に電話をしてみようとするが、携帯電話に貼られたプリクラを見て、思い留まった。
哲平とさなえは、神社の境内を歩いていた。
「兄貴のことだけどさ、そんな簡単に諦めるなよ。兄貴も自分のこと変えようと必死でもがいてると思うからさ。ほら、どんな駄目だって思う試合だってさ、やってる奴が気合い入れれば最後逆転する試合だってあるでしょ。」
「でも、どんなに頑張っても勝てない試合もある。流れが急に一方に傾いて、どんなに頑張ってもその流れに逆らえないことがある。・・・哲ちゃん、私ね・・・」何かを打ち明けようとするさなえだったが、哲平の携帯電話が鳴り、言葉を閉ざされてしまった。
得意先からの電話だった。
さなえは、電話に貼られたプリクラを見つけ、言い出そうとした言葉をまた胸にしまった。
さなえがアパートに戻ると、荘一郎が来ていた。
「今日は一人でいたいの。大丈夫。来週のパーティーにはちゃんと行くから。」さなえは、荘一郎の話も聞かず、部屋に入ってしまった。
一方、急いで会社に戻る哲平。
「この忙しい時にさ、何をさぼってんの?」理子は、知らぬ顔で聞いてみた。
「水原に会ってた。」と、哲平。
正直に言ってくれたことに、いささかホッとする理子。
「あいつもさ、兄貴といろいろあると思うんだけど、二人の問題は二人に任しといたほうがいいでしょ。」割り切る哲平の言葉に、理子は俄然元気になる。
”VENTUNO”コンペ会場。
議論を重ね、できあがった自信の作品を掲げ、コンペに挑む哲平。
全身全霊をかけて、取り組んだ企画だけに、自然と熱が入る。
その頃、さなえは、婚約パーティーに行く準備をしていた。バッグを開けると、中には神社のお守りが・・・
袋の裏には、『水原ガンバレ!』の文字。哲平のさりげない優しさに、思わず、そのお守りをギュッと抱きしめる。
一方、哲平の職場では、なにやら緊迫したムードが漂っている。
コンペの結果を待っているのだ。
哲平は、自分が手がけたものだけに、人一倍落ち着いていられない様子。そこに電話が鳴る・・・負けた・・・★
「新人にしては、お前はよくやったよ。クリエイティブの連中も今回はお前を見捨てずに最後まで頑張ってくれた。」課長は、哲平に労いの言葉をかけた。
「でも俺は・・・いや俺達は、精一杯いい仕事をしたつもりです。」
「いい仕事だから勝てると思うな。勝ったからいい仕事なんだ。」課長から、いつもの喝が飛ぶ。
婚約パーティー直前。
さなえは、哲平への想いを断ち切ろうと、高校時代の思い出の写真を燃やしていた。そこへ荘一郎が迎えに来た。
炎に包まれる写真を見てさなえの哲平への想いを確信した荘一郎は、
「こんなもの燃やしたって、お前の中の気持ちは消えないんだろう?だったらもう無理するな。対面だけ、体裁だけの結婚はまっぴらだって言ったのはお前じゃないか。哲平にも言われたよ。俺がもっとお前をしっかり捕まえとけばよかったのかもな。」そう言って、一人で婚約パーティーに行ってしまう。
婚約パーティーに一人乗り込んだ荘一郎は、さなえとの婚約解消をきっぱりと宣言した。
理子は、落ち込む哲平を励ますため、クラブやゲーセンに誘うが、
「今日は別々に帰ろう。一人になりたいからさ・・・」
哲平のダメージは、思った以上に大きかったようだ。★
一人神社の境内へ行く哲平。
そこには、神前で手を合わすさなえの姿があった。
「・・・行くとこなくなっちゃった。」と、涙ぐむさなえ。
荘一郎との間にまた何かあったことを察した哲平は、自分の部屋に連れて行き、話を聞くが、いったい何があったのか、一向に真相がつかめない。
その頃、理子は、哲平をどうにか元気づけようと、お得意の手品を見せることにし、準備を済ませ、哲平の部屋へと向かっていた。
「私のきもちが、荘一郎さんにないからなの。私の気持ちが哲ちゃんに向いているからなの。」荘一郎との仲が壊れた理由を説明するさなえ。
「駄目だって、何度も自分に言い聞かせた。哲ちゃんに甘えちゃいけないって。でも、どうしようもないの。気がついたら、哲ちゃんがいつも私のそばに居てくれて、私のこと支えてくれた。」話を続けるさなえ。哲平は、背中をむけたまま、いたたまれない気持ちで聞いていた。
「・・・哲ちゃんが好き!★ 哲ちゃんじゃなきゃ駄目なの。」さなえは、哲平の背中に抱きついた。
「今の私、哲ちゃ・・・」哲平の中で何かがはじけ、振り向きざまにさなえにキスをする。さなえの言葉を封じるかのように。
哲平の部屋の前に着いた理子は、哲平を驚かせようと、ノックをせずに元気よくドアを開けた。が、そこには信じられない光景が・・・。
「う、そ・・・どうして・・・」理子は、愕然とし、目を潤ませ、部屋を飛び出して行った。
すぐに後を追う哲平。
さなえは、いたたまれなくなり、その場に崩れてしまう。
「理子!」
哲平は、走る理子を追いかける。
ようやく追いつき、理子の腕をつかむが、理子はその手を払いのけ、
「嘘だっていってよ。さなえちゃんと抱き合ってたのも、キスしてたのも、全部嘘だって言ってよ。ずるいよ哲平。私もう哲平のこと好きになっちゃったんだよ。私には・・・哲平しかいない。哲平しか見えない。もう後戻りできないよ。なのに、なんであんなことするの?あんなことしちゃ駄目だよ。」理子は、涙で顔がぐちゃぐちゃになりながら言った。
「何かいってよ。」
「・・・・・・・・・・。」
「何かいってよ!」
理子は、手品のシルクハットを哲平に投げつけた。
哲平は、何も言えない。
理子は、走り去ってしまう。
理子の後を追えずに立ちすくむ哲平は、理子が残していったシルクハットに目をやる。
シルクハットの中から出てきたハンカチには、
『Tomorrow is Another Day 元気出せ 哲平 理子』の文字が・・・
そのハンカチを握りしめる哲平の心に、理子の気持ちが突き刺さる。★
泣きながら歩いていく理子を哲平は、ただ見送ることしかできなかった。
皆様、まとまりの悪いレポを最後までお読みくださいまして、大変ありがとうございました。m(__)m
このレポに関するご意見、ご感想等ございましたら、メール及び掲示板にてお知らせください。
尚、哲平の表情に私が「げっちゅー」されたものに、★をつけましたので、皆さんも確認してみると楽しいかも・・(まだまだあるけど、きりがない(^^;))
No.241ちかりんでした。 |